2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児の社会・情緒的問題の評価尺度-日本語版ITSEAの標準化と活用にむけて-
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15K11726
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
河村 秋 淑徳大学, 看護栄養学部, 講師 (50719094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 たい子 東京医科歯科大学, その他の研究科, 教授 (10156713)
小渕 隆司 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50457818)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達障害 / 社会・情緒的問題 / 子育て不安 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害を持つ、あるいは診断は受けていないが、育てづらい、発達上で気がかりな点があるなどの「気になる子」の問題は、子育て不安、親子関係の阻害、ひいては虐待につながる要因としても重視すべきものとなっている。ITSEA(Infant- Toddler Social and Emotional Assessment)は、乳幼児の社会・情緒的問題をアセスメントするために、アメリカで開発された尺度であり、1~3 歳の子どもの社会・情緒的発達の問題、さらにはその子の持つ能力について査定することができる。診断のためのツールではなく、子どもの持つ特徴や能力について養育者や支援者が把握することで子どもへの適切な関わりにつながり、子どもの良好な発達、親子関係の確立につながることが期待される。 筆者は原版ITSEA を元に日本語版ITSEA の開発と、その信頼性と妥当性についての確認を行った。さらにデータを収集し、日本における標準化、カットオフポイント設定、質問紙、マニュアルの作成により、本尺度の日本での活用を目的とする。 平成27年度は、先行研究においてデータ収集を実施した千葉県、東京都、埼玉県に加え、北海道においてのデータ収集を実施するために分担研究者の追加を行った。 研究代表者、研究分担者の在籍機関への倫理審査申請を行い、承認を受けた。研究責任者、分担研究者、研究協力者が集まり具体的なデータ収集の計画などについての検討と打ち合わせを行った。 また、データ収集に必要な環境整備とともに質問紙作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は以下の計画が設定されていた。 (1)全国の自治体の協力を得て日本語版ITSEA 質問紙調査を実施する。 (1)-1.これまでに調査を実施したのは関東地方(東京都、千葉県、埼玉県)で、1,107 例のデータが収集された。関東地方以外の、北海道地方、東北地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州地方において日本語版ITSEA による質問紙調査を実施する。データ数2,000 になるよう、各地方の日本における人口比に比例したデータ収集を行う。そのために各市町村へ質問紙調査(住民基本台帳から無作為抽出した1~3 歳児の養育者を対象に質問紙を配布、回収する)を依頼する。質問紙の郵送による配布、回収においては業者に委託する。市町村の協力が得られない、あるいはデータ数の不足がある場合には、各地方の大学などの教育機関、医療機関に研究協力を依頼しデータ収集を実施する。 まず、筆者の所属する淑徳大学看護栄養学部、研究分担者の所属する東京医科歯科大学医学部への倫理審査申請を実施し、淑徳大学より9月24日、東京医科歯科大学より3月22日に承認を受けている。 (1)-1について、市町村においてのデータ収集については困難であると判断し、北海道教育大学釧路校の小渕隆司准教授に研究分担者として研究協力を依頼した。研究代表者と研究分担者全員による具体的な研究作業の打ち合わせを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道の医療機関、保育所において日本語版ITSEAを用いたデータ収集を実施する。先行研究にて収集したデータと合わせて分析を行ない、臨床群、コントロール群の日本語版ITSEA得点について各領域、下位尺度、項目ごとに比較する。臨床群、コントロール群のデータに基づいてROC曲線を作成し、日本における男女別のカットオフポイントを設定する。また、先行研究において収集した日本語版ITSEAと子どもの行動チェックリスト親用CBCLとの関連、臨床群のデータと新版K式発達検査のデータの関連についても検討する。
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Causes of Carryover |
収集データの分析のために統計ソフトの購入が必要であるが、当該年度においては金額が不足していたため来年度においての購入をすることにしたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度において統計ソフトの購入と各分担研究者への送金により使用する予定である。
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