2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者および災害時要援護者に配慮した避難所運営のための地域防災対策支援方法の構築
Project/Area Number |
15K11753
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
磯和 勅子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30336713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
グライナー 智恵子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20305270)
北川 亜希子 三重大学, 医学系研究科, 助教 (20422876)
服部 由佳 三重大学, 医学系研究科, 助教 (30705405)
川口 淳 三重大学, 工学研究科, 准教授 (50224746)
桑原 万由子 (平松万由子) 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (50402681)
石井 美恵子 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (90716440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害時要配慮者 / 高齢者 / 避難所 / 災害看護学 / 老年看護学 / 地域防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者を含む災害時要援護者に配慮した避難所運営に焦点を定め、地域の実情とニーズに応じた避難所運営マニュアルを住民自ら作成し、住民自治による円滑な避難所運営ができるための防災対策支援方法を構築することである。 平成30年度は、平成29年度に引き続き、①作成された防災対策支援ワークショップのプログラムを運用し、適宜評価して、プログラムの修正を行う。同時に、②高齢者および要配慮者が避難所生活で健康障害を引き起こさないための具体策について、実演・演習を行いその効果を評価することが計画されていた。 ①②について、平成30年度には当初予定していた新規地区への導入が困難となったため、昨年度までに実施してきた三重県南部沿岸地域の3地区において、継続的な防災対策支援を行うとともに、支援プログラムの評価および見直しを行った。特に、地域防災は住民自治による継続的な取り組みが必要であるため、これまでの支援により、住民主体の効果的・継続的な活動が実施されているかに焦点を当て、新たに抽出された課題への支援を行った。具体的には、対象地域の地域高齢者および要配慮者は、大規模災害時、避難所において下肢筋力の低下に伴う歩行障害、エコノミークラス症候群、認知機能低下、既往症の悪化など、健康障害を引き起こしやすく災害関連死につながりやすいことが課題となっている。そのため、それらの発生を防止・低減するための方法について、日頃からの心身機能の維持・向上(特に移動能力と認知機能)の方法および避難所における健康維持の方法について繰り返し講義と演習を行った。その上で、習得した内容を地域住民に指導する場を設けた。それにより、参加者及び地域高齢者の防災・減災意識の向上および準備状態の向上につながった。また、住民主体の継続的な防災活動が実施されるよう、地域行政と協力し、相談窓口および定期的な支援の場を設けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の実施目標は、①作成された防災対策支援ワークショップのプログラムを運用し、適宜評価して、プログラムの修正を行う。同時に、②高齢者および要援護者が避難所生活で健康障害を引き起こさないための具体策について、実演・演習を行いその効果を評価することであった。今年度新たな地区への介入はできなかったが、これまでかかわった地域での活動へのフォローが実施でき、支援方法の評価および見直しができた。①については、作成された防災対策支援ワークショップのプログラムを運用し、運用常の問題や使用しやすさなどについて参加者からの意見を伺った。②については、昨年度まで実施してきた3地区を対象とした講義・演習を繰り返し行うとともに、住民主体の活動が継続できるよう、支援体制を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は最終年度となるため、引き続き①作成された防災対策支援ワークショップのプログラムを運用し、適宜評価して、プログラムの修正を行うと共に、②高齢者および要援護者が避難所生活で健康障害を引き起こさないための具体策について、実演・演習を行いその効果を評価する。また、③これまでの評価と成果を踏まえ、避難所運営における防災対策支援方法を決定し、それらが地域で継続的に実施できるよう、住民・行政・大学の連携強化体制を整える。さらに、④作成された災害対策支援方法とその成果を県内地域・行政に公表するとともに、学会発表・論文化を通じて研究成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)代表者が平成30年10月16日~平成31年6月11日の期間、産休・育児休業になったため計画の一部が変更されたこと、また、当初予定していた新規地区への介入が来年度に変更されたため、次年度使用額が発生している。 (使用計画)平成31年度には、当初平成30-31年度に予定していた、①作成された防災対策支援ワークショップのプログラムを運用し、適宜評価して、プログラムの修正を行う。同時に、②高齢者および要援護者が避難所生活で健康障害を引き起こさないための具体策について、実演・演習を行いその効果を評価する。また、③防災対策支援ワークショップのプログラムの見直しを行い、地域に応じた避難所運営方法の構築と地域住民の育成を継続すると共に、最終年度を踏まえ防災対策支援ワークショップのプログラムの内容をまとめてゆく。特に、平成31年度には、①ワークショップのプログラムを運用・評価、および高齢者・要配慮者への避難所支援方法の教育を継続すると共に、②これまでの評価と成果を踏まえて、住民・行政・大学が総合評価し、最終的な避難所運営における防災対策支援方法を決定してモデル化する。また、③作成された防災対策支援方法が継続して機能するよう、住民・行政・大学の連携強化を図る。④モデル化された支援方法とその成果を県内地域・行政に講評すると共に、学会発表・論文化・マスメディアを通じて研究成果を公表する。
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