2016 Fiscal Year Research-status Report
冷え性高齢者の転倒発生に関わる足底感覚及び立位姿勢調節機能の検証
Project/Area Number |
15K11783
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Research Institution | Ube Frontier University |
Principal Investigator |
棚崎 由紀子 宇部フロンティア大学, 人間健康学部, 准教授 (50461356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 泰子 四国大学, 看護学部, 教授 (30330773)
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性高齢者 / 冷え性 / 足底感覚機能 / 立位姿勢調節機能 / 下肢触圧刺激 / 転倒予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、下肢に冷えのある女性高齢者の転倒発生に関わる足底感覚機能と立位姿勢調節機能を明らかにするとともに、下肢の冷えと転倒との関連、下肢への触圧刺激における高齢者の足底感覚機能、立位姿勢調節機能に及ぼす影響と冷えの症状緩和の有用性を検証することである。 平成28年度は、平均年齢75.3±5.4歳(67-89歳)の女性高齢者45名を対象にし、寺澤(1987)の「冷え症診断基準項目」で冷え性と判定され、かつ下肢に冷えの自覚がある15名を「冷え性高齢者」とし、冷えのない「健康高齢者」30名と比較検証した。調査時期は冷え症状の強い11月下旬からから3月上旬を設定し、実験専用の部屋で実施した。足底感覚機能については、温・冷覚の温度感受性と二点識別覚等を、立位姿勢調節機能は、立位姿勢開眼・閉眼時の重心動揺と足趾の把持力等により評価した。また下肢への触圧刺激は、植物性オイルを用いた下腿から足趾の範囲のマッサージを20分間実施した。 冷え性高齢者は、健康高齢者と同じ年齢層であったにも関わらず、健康高齢者に比べてBMI、体脂肪率、基礎代謝量、鼓膜温ともに有意に低い状態であった。冷え性高齢者の内、この1年間に転倒経験があった者と転倒経験が無い者とでは、足趾の把持力、重心動揺に違いが認められた。また、下肢への触圧刺激により足趾および足背部の皮膚温が有意に上昇した。今後は、さらに詳細に分析を進め、冷え症状の緩和が転倒予防につながるか否か検証をすすめていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、購入予定であった測定機器が生産中止となりプレテストに至らなかったが、平成28年7月に同等の測定機器を購入することが可能となり、女性高齢者45名を対象にした実験的検証を行うことができた。しかし、機器購入時期が当初の予定よりかなり遅延したことから、介入時期も同様に遅れが生じ、冷え性高齢者の研究協力者の募集活動が十分に行えず、当初予定の20名に達することができなかった。統計的な分析は可能であると判断し、現在はデータの整理と入力を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29 年度は、平成28年度に得られた測定データを統計的に分析し、その成果発表とともに報告書の作成を予定している。下肢に冷えのある女性高齢者の転倒発生に関わる足底感覚機能と立位姿勢調節機能を明らかにするとともに、下肢の冷えと転倒との関連、下肢への触圧刺激における高齢者の足底感覚機能、立位姿勢調節機能に及ぼす影響と冷えの症状緩和の有用性を検証していく。発表の場としては、国内外の関連学会及び学術誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
購入予定機器の生産中止に伴い、機種を変更することになったため購入価格に差額が生じた。また、それに伴い購入及び実験の開始時期も遅延した。平成28年3月に測定は終了したが、データ整理と入力を次年度に持ち越したため、平成28年度に予定していた成果発表も平成29年度に持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に得られた内容について平成29年度に関連学会で共同研究者とともに発表をするため、それに伴う旅費・宿泊費・学会参加費等が発生する。また、発表を行うにあたり、パソコンの購入、国外の学会参加及び学術雑誌への論文投稿に伴う翻訳料、査読料、論文掲載料等も予算化しておく必要がある。さらに、最終年度の報告書作成(冊子)のための印刷費用が発生する。
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