学生の在宅看護実践力向上を目指したシミュレーション教育教材の開発

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K11805
• Research Institution: Kobe City College of Nursing
• Principal Investigator: 宇多 みどり 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90552795)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加利川 真理 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (50612404) ; 片倉 直子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60400818)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 看護基礎教育 / 訪問看護

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、訪問看護師の人材育成と資質の向上を目指して、看護基礎教育において在宅看護実践力を養成するために、新卒訪問看護師に求められる能力から在宅看護における卒業時の到達目標を再構築し、目標を達成するためのシミュレーション教育教材の開発を行うものである。その開発過程は、まず新卒の訪問看護師やその支援者（訪問看護師）の在宅看護実践の現状を明らかにし、看護基礎教育における卒業時の到達目標を明らかにする。そして、学習目標を設定し、その教材開発と授業の実施、評価をする。教材とは、ストーリー型のシナリオや具体的な教育技法、人材と機器の準備等を示す。以上の結果を受けて、教育学や看護学などの先駆的研究者および実践者の意見を得て、教材・教育技法を検証し再考する。
平成27年度は、在宅看護実践力の現状と卒業時の到達目標に関する分析（Analysis）を行うために以下の準備を行った。
（1）看護基礎教育における看護実践力に関する文献や訪問看護師の看護実践力に関する文献、先駆的に新卒看護師を育成・教育している訪問看護ステーションに関する資料、学会発表などから在宅看護実践力に関する知識・技術を11領域、73項目を抽出し、無記名自記式調査票を作成した（一次調査）。（2）新卒訪問看護師を採用している事業所に二次調査（新卒訪問看護師6名に、卒業時に到達しておきたい知識や技術について、インタビュー調査）を行うためのインタビューガイドを作成した。（3）本研究計画について、所属研究機関での倫理審査委員会での承認（受付番号2015-1-41）を受けた。
今後、質問紙調査・インタビュー調査を実施し分析していく予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成27年度の研究実施計画では、平成28年3月までに「訪問看護師に求められる新卒看護師の在宅看護実践力に関する調査」を質問紙調査及びインタビュー調査を行い、分析する予定であったが、看護基礎教育における看護実践力に関する文献や訪問看護師の看護実践力に関する文献から、在宅看護実践力に関する知識・技術を抽出する過程で多くの時間を要した。しかし、時間をかけて検討した結果、11領域73項目の在宅看護実践力に関する知識・技術を抽出するに至った。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策について、以下のように実施する。
（1）平成28年5月「訪問看護師に求められる新卒看護師の在宅看護実践力に関する調査」を質問紙調査の準備が整っているため直ちに実施する。結果は、記述統計を行なった後に、項目毎に集計しカットオフ値50％とし、必要な在宅看護実践力として抽出する。また、同年8～9月、訪問看護ステーションに新卒で採用され、卒後3年以内の訪問看護師6名にインタビュー調査を実施する。結果から、「卒業時に到達しておきたい知識や技術」と認識していると解釈できる部分を抽出し、コード化し分類する。意味内容が類似しているものを集め、カテゴリー化する。それぞれの結果から研究分担者と協議し、在宅看護実践力の具体的内容を選定し、看護基礎教育における卒業時の到達目標を検討する。（2）平成29年1～2月結果を受けて、基礎看護教育における在宅看護論のカリキュラム内容（学習目標や教育内容、教育技法を研究分担者と検討する。

Causes of Carryover

平成27年度実施予定であった、質問紙調査に関する費用及びインタビュー調査に関する費用を翌年度分として請求し使用する。
さらに、平成28年度は、卒業時の在宅看護実践力における到達目標結果を受けて、在宅看護論の学習目標や教育内容、教育技法を検討し、その教材開発を行うために使用する。

Expenditure Plan for Carryover Budget

以下のように研究計画に基づき使用する。
（1）兵庫県内、訪問看護事業所430ヶ所の管理者に対して、無記名自記式調査の実施、新卒訪問看護師6名に対するインタビュー調査に伴う、調査費用、研究協力者への謝礼、データー入力費用。（2）調査結果から、卒業時の在宅看護実践力における到達目標を受けて、在宅看護論の学習目標や教育内容、教育技法を検討し、その教材開発を行うための費用。①ストーリー型のシナリオの作成、具体的な教育技法の検討、人材（模擬療養者とその介護者役の地域住民ボランティアの調整）、機器（高機能シミュレーター）など教材を開発するための費用②クリニカルシミュレーションセンターへの研修参加費③開発教材（案）の再考；先進国である米国のシミュレーション看護教育の実践者や国内でのシミュレーション看護教育先駆者へ開発した教材（案）をデモンストレーションしその評価から教材を練り上げるための費用。