中等度認知症高齢者の家族のためのレスパイトケアモデルの開発に向けた基礎的研究

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K11837
• Research Institution: Fukuoka University
• Principal Investigator: 坂梨 左織 福岡大学, 医学部, 講師 (20569644)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤田 君支 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80315209)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 認知症 / 家族介護者 / エンパワメント

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、中等度認知症の人の家族介護者に対するレスパイトケアモデルの確立を目指し、家族介護者のエンパワメントを高める支援の構築に向けた示唆を得ることである。
平成27年度は、１）家族介護者のエンパワメントに関する文献レビューと概念分析、２）わが国の文化的特徴を反映した認知症の人の家族介護者のエンパワメントの構成要素を明らかにし、それを測定できる尺度の検討に向けて調査を行った。
１）Pub Med、CINAHL、Scopus、医中誌のデータベースを用いた文献レビューを行った。エンパワメントは複雑で多次元の概念であることが指摘されているが、その定義が不明確なまま調査・介入が行われる傾向にあった。さらに、成人期以降の対象者を介護する家族介護者のエンパワメントが十分に検討されていないことが明らかになり、その構成要素と定義を明確化することが課題となった。そこで、Rogersの革新的概念分析の方法を用いて、家族介護者のエンパワメントの概念分析を行った。分析の結果、6つの属性と5つの先行要件、5つの帰結が明らかになり、家族介護者のエンパワメントの概念を定義することができた。
２）わが国の認知症の人の家族介護者のエンパワメントの構成要素を明らかにするために、所属大学の倫理委員会の承認を得て、「認知症の人と家族の会福岡県支部」の世話人や会員、「つどい」に参加する者5名と認知症の人とその家族介護者と関わった経験のある医療・福祉の専門職者約5名にインタビュー調査を行った。現在、インタビュー内容を分析中である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

家族介護者のエンパワメントに関する文献レビュー、概念分析を行った。「認知症の人と家族の会福岡県支部」の協力を得て、認知症の人の家族介護者及びその家族介護者と関わった経験のある医療・福祉の専門職者にインタビューを行うことができた。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は、以下のことを行う。
・インタビュー内容の分析結果から、認知症の人の家族介護者のエンパワメントの構成要素を明らかにする。
・抽出された構成要素から、エンパワメントを測定できる尺度の試案を検討する。

Causes of Carryover

文献レビューの発表及び分析結果の検討を平成28年度へと変更したため、旅費及び人件費・謝金の支出が必要なかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度に文献レビューを国内学会で、インタビュー結果を国際学会で発表予定であり、旅費を使用する。現在行っているインタビューの分析が終了次第、専門家と検討するために謝金を使用する。