2016 Fiscal Year Research-status Report
学校救急処置における養護教諭の臨床推論能力を高める教育プログラムの開発
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15K11895
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
丹 佳子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (70326445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小迫 幸恵 山口県立大学, 看護栄養学部, 講師 (20347537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 養護教諭 / 臨床推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校救急処置における緊急度・重症度判断の能力を高める「養護教諭に必要な臨床推論」を明らかにするとともに、その能力を育成するための新しい教育プログラムを作成することを目的としている。 平成28年度は、平成27年度の研究成果をふまえ、6種類の傷病(頻度が高い,判断が困難,重症例を含む可能性がある傷病を選択)について「臨床推論モデルパターン(原案)」を作成し医師の医学監修を受けた。さらに、より学校現場で使用可能な「臨床推論モデルパターン」を完成させるため、小中高等学校の養護教諭に対して、判断に至る養護教諭の思考プロセスの実際と課題を調査した(「養護教諭の思考プロセス調査」)。 「養護教諭の思考プロセス調査」は、A県の小中高等学校および中等教育学校541校の養護教諭に研究協力依頼を行い、同意が得られた55名の養護教諭に調査票を送付した。52名から回答があり、提出された事例は158事例であった。事例の内訳は、四肢外傷:53事例(33.3%)、頭部外傷:29事例(18.4事例)、腹痛:25事例(13.9%)、失神:17事例(10.8%)、息苦しい:12事例(7.6%)、であった。回答した養護教諭の経験年数は平均19.7年±11.49、校種は小学校20名(38.5%)、中学校16名(30.8%)、高等学校14名(26.9%)、その他1名(1.9%)、無回答1名(1.9%)であった。 現在、養護教諭が子ども達に対応した様子を記述したプロセスレコード(養護教諭自身が記入)に表現された、緊急度・重症度判断をする過程で「念頭においた傷病」や「収集した情報」と、「臨床推論モデルパターン(原案)」に記載された「想定する傷病」と「収集すべき情報」の比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「養護教諭の思考プロセス調査」において、当初予定していた以上に、子どもや養護教諭の個人情報保護のための方法選択検討と学校現場の理解を得るための時間が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
①平成28年度の調査結果をふまえ「臨床推論モデルパターン」を完成させる。 ②学校救急処置の「振り返り」を行っている養護教諭を対象に、振り返りの方法・内容と課題・効果を調査し、「思考プロセスの振り返り」のために必要な学校救急処置の記録内容を明らかにする。③②の結果をふまえ教育プログラムの教材「学校救急処置振り返りシート」を作成する。 ④①の「臨床推論モデルパターン」と③の「学校救急処置振り返りシート」から構成される「学校救急処置における養護教諭の臨床推論能力を高める教育プログラム」を完成させる。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、「養護教諭の思考プロセス調査」は、行動観察による方法を用いる予定であったが、個人情報保護等の観点から養護教諭自身に思考プロセスを記述してもらう方法に変更したため、その調査に伴う旅費等が不要になった。 また、養護教諭の思考プロセスに基く「臨床推論モデルパターン」の修正に至っておらず、臨床推論モデルパターン作成に係る医師による医学監修のための謝金を使用していないため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床推論モデルパターンを作成し医学監修費用等に用いる。また、教育プログラムの構成要素の一つである「学校救急処置振り返りシート」を作成するための、調査協力謝礼、データ整理謝金等に用いる。さらに、教育プログラム完成にむけて教材作成費用に用いる。
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Research Products
(3 results)