2016 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災からの復興における障害者に関する福祉コミュニティの構築とその意義
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15K11936
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
古山 周太郎 東北工業大学, ライフデザイン学部, 准教授 (80530576)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害者福祉 / 東日本大震災 / 地域自立支援協議会 / 災害時要支援者 / 避難個別計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は障害当事者の聞き取り調査と、自治体へのヒアリング及びアンケート調査を実施した。まず、被災した障害当事者5名に対して、被災時の状況、避難の経緯、避難時等の生活、生活の復興状況、地域社会からの支援の実態、今後の防災対策の課題について聞き取り調査を行った。ほとんどの障害者が、避難所での生活は事前に無理と判断し、自宅に待機もしくは親類宅へと避難していた。避難生活においては、近隣住民からの物資提供や特別な配慮もみられたが、一方で地域が被災している状況で、障害当事者自身が特別な支援を受けることを気後れする傾向もみられた。また、今後の防災対策では、行政の対応の遅れが指摘されており、抜本的な防災対策の見直しを求めていた。さらに、地域社会からの支援を受けるため、日常的な関係構築の必要性も意識されていたが、手段や機会の不足が今後の課題のひとつとして挙げられた。 自治体調査は、東北地方の市の災害時要援護者対策の実施状況についてアンケート及びヒアリング調査を実施した。アンケートは77市に配布し、47市から回答があった。調査では、個別計画の策定状況、障害者への対応の実態、また地域との協力の課題を明らかにすることを目的とした。調査の結果、個別計画の記載事項は自治体により異なり、取り組みの進捗状況には差がみられた。特に障害者への対策をみると、自治体によって対象となる障害種別や手帳の等級が異なり、高齢者と比較して対策が遅れていた。また、人員不足や地域との協力体制の未整備などの理由から、自治体は個別計画の策定に積極的な役割を果たしていなかった。さらに、一部の自治体では、地域の体制づくりへの支援や、行政のサービスセンターによる要支援者支援や地域への積極的な関与といった独自の運営体制を構築して、避難時要支援者対策を積極的に進めていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画していた自治体調査は被災自治体を含めた東北地方全77市に対してアンケート調査を実施した。町村部を除いたのは、障害者福祉政策の実施が圏域単位で行われており同圏域の市が中心に行われている点、および災害時要援護者対策の進捗状況が市部と比較して遅れている点が事前ヒアリングにおいて把握できたからである。さらに、障害当事者へのインタビューも、様々な障害種別の対象者にアプローチできており、順調に推移している。一方、昨年度に企画していた、自立支援協議会の調査は端緒の段階ではあるが、数か所への事前ヒアリングが終わっており、本格的調査の実施の準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き障害当事者へのヒアリングを実施する。多様な障害種別の対象者を選定する必要を踏まえ、本年度は精神障害者や軽度の知的障害及び発達障害をもつ対象者を、当事者団体や支援団体の紹介のもと、計10名ほどの半構造化面接調査を実施する。当事者調査の結果については、先行文献からの知見を整理したうえで、本調査により得られた結果をとりまとめる。 さらに、地域自立支援協議会での障害者の防災対策の取り組みの調査では、東北地方以外の地域での先進事例を対象にして、取り組みの実態を整理し、課題点を把握する。特に障害者に関する福祉コミュニティの構築への、自立支援協議会の実践が果たす役割について着目して新たな知見を得たい。 本年度は研究のとりまとめの年度であり、前年度、前前年度得られた結果と合わせて、関連学会や国際会議での研究発表を積極的に行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は、アンケート調査を実施に伴い、入力分析作業を外部業者に委託予定であったが、回収数が期待よりも少なかったためにその必要がなくなったため、人件費及び謝金の支出が当初の計画に比べ大きく下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度も引き続きアンケート調査やヒアリングを実施するために、旅費およびデーター入力の費用が計上される。また、研究成果の学会発表に伴い、研究成果の公表に関する諸経費や旅費等が発生する。
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Research Products
(1 results)