2017 Fiscal Year Research-status Report
原発事故による福島の内水面漁業・漁協・コミュニティの被害・支援・復興
Project/Area Number |
15K11940
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大森 正之 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (40267860)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 原発事故 / 福島内水面漁協 / 漁協への補償 / 県からの支援 / 復興施策 / 漁協経営の危機 |
Outline of Annual Research Achievements |
春季の被災内水面漁協への訪問調査は、先方の復興の遅れと調査日程が調整できないことから、秋季に持ち越された。秋季調査は11月2日の福島県水産課での聞き取り調査で、被災漁協支援が進捗していないことが明らかになった。3日、4日は室原川・高瀬川漁協、木戸川漁協、県内水面漁協連合会長と面接でき、後述の学会報告や論文やに反映できる情報を入手した。なお富岡川漁協の訪問は、先方の事情でキャンセルされた。 被災漁協は、東電からの賠償では、従来どおりの漁協雲煙は不可能であり、地域の自治体からの積極的な支援や協働関係の構築を求めている。しかしながら当該自治体は、独自の漁協支援策を構築できていない。例外的に成功しているのは、養魚場、孵化場が再開した木戸川漁協である。同漁協は施設が販売場であり観光資源として集客力があることから、積極的に支援をしている。こうした事例がモデルとして他の漁協と自治体に採用される必要がある。 これまでの研究成果は、漁業経済学会での報告(6月4日)「原発事故による福島の内水面漁協の被害と賠償」(東京海洋大学)として公表された。また単著論文(2017年3月)「原発事故による福島の内水面漁協の被害と賠償」明治大学『政経論叢』85-5.6、および単著論文2017年7月「原発事故に起因する福島の内水面漁協の被害と賠償」岩波書店『環境と公害』47-1として公表された。現在、所属する日本環境会議が出版予定の英文書籍に当該問題を織り込んだ論文を執筆中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定された春季の訪問調査が、上記の事情で繰り延べされたため、主にアユの解禁の可否、遊漁者へのつり券販売状況、遊漁者の意見、漁協の今後の対応、東電からのアユ解禁への支援金の有無、自治体の支援の有無と補助金の交付状況などが把握できなかった。そのたび春季調査が、本年度の課題として持ち越された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の春季訪問調査について、早急に、訪問予定の浜通りの漁協とスケジューリングする必要がある。それを6上旬から7月上旬に設定し、万が一スケジュール困難な場合は、夏季休暇中にずれ込んでも、実施する。また、予算を切り詰め、秋季の追加的な現地調査を行えるようにすると共に、経営を再開した漁協から、原発事故3年後以降の事業報告書のコピーを可能な限り入手し、分析の対象を広げたい。漁業経済学会では、他の内水面研究者と情報交換を行い、学会での内水面漁業の特別セッションを企画したい。
|
Causes of Carryover |
本年度予定していた春季の福島県内水面漁協への訪問聞き取り調査において、先方の復興の遅延と復興作業の多忙などを理由に、日程調整ができず、秋季のみの調査実施となった。そのため、研究代表者と研究補助者の旅費、現地交通費、宿泊費、および研究協力者への謝金などが余剰となった。また、上記の調査を踏まえて、英文論文を執筆する際の校閲費なども使えず、余剰となった。本年度は、春季調査と予算が余れば再度手記調査を行い、英文論文を執筆し、専門家の校閲を受けることに使用する。
|