2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11944
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松下 大輔 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90372565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 真紀 (田原真紀) 岐阜大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70462942)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 避難者 / 生活実態 / 岡山県 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年12月から1月にかけて、「平成27年度岡山県内避難者生活実態調査」を行った。これは2012年より継続的に行っているアンケート調査である。毎年度共通した設問と、年度毎に異なる特定の設問を設定することにより、県内避難者の生活実態の経年変化とともに、生活や環境とともに移行する課題を明らかにしようとしている。本年度の調査結果の概要は次の通りである。岡山県、岡山市の協力を得て郵送とウェブサイトによるアンケートを実施し、計75通の有効回答を得た。岡山県内の避難者数は2015年12月時点で1,076人で、震災後初めて減少している。岡山県は他府県と比べて関東地方からの避難者の割合が約8割と大きい。岡山県に避難した理由は、「原発事故の影響を避ける」「地震・災害が少ない」の割合が大きく、「行政の支援」「民間の支援」の割合は5%程度と小さく、減少している。職業、生活費、生活の質、住居、社会関係、家族関係の満足度を避難前後で比較すると、いずれも避難後の満足度の方が小さくなっている。これに対して、子供の健康の満足度は避難後に増加している。幼い子供や家族の健康を優先し、生活全般の事象を犠牲にして避難している状況が見られる。一方、震災より約5年が経過し、例えば住居に関して満足と解答したグループと、不満と回答したグループに分かれる傾向が見られ、避難先への適応がなされた避難者とそうでない避難者とに分化していることも懸念される。 これらの成果はプレスリリースと報告会により公表した。アンケートの自由記述は定量的な分析に不向きであるが、避難者の生の声や貴重な意見が含まれているため、自由記述を適宜抜粋、分類して「避難者の声」という冊子にまとめ、公表した。 テレビ、新聞等の報道機関により多数の取材を受け、成果が広く公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的な調査である岡山県内避難者生活実態調査を予定通り行ったが、アンケートの有効回答率が低下している。震災から約5年が経過し、避難先への適応が進むとともに、本調査への関心も震災直後と比べて低下している。調査方法の見直しも含めて今後の研究研究計画を立てる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
京都府および大阪府での実態調査を行う。両府への交渉を行っている。これにより各府県の避難者の実態の比較が可能となる。岡山県の特徴的な避難実態を明らかにすることができる。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の有効回答数が当初の予定を下回ったため、郵送費、謝礼等が予定通り執行されなかった。大阪府での避難者生活実態調査を当初の予定通り行うことができなかったため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の残額は、大阪府、京都府へのアンケート調査に充当する。
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