2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11944
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松下 大輔 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (90372565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 真紀 (田原真紀) 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (70462942)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 避難者 / 生活実態 / 岡山県 / 大阪府 / 広域避難 / 再定住 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年より継続的に行っているアンケート調査「平成28年度岡山県内避難者生活実態調査」を2016年9月から11月にかけて行った。今年度は、岡山県と大阪府の広域避難者を比較分析することにより、単一の地域を対象とした研究では把握できていなかった、広域避難者の避難行動や生活実態の特徴を明らかにすることを目的とした。 岡山県、大阪府の協力を得て郵送によるアンケートを実施し、計102件の有効回答を得た。両府県とも、幼い子供を連れた若い親による避難世帯が多い。母子避難世帯(夫婦別居世帯)、母子世帯、単身世帯の合計の割合は岡山県は半数を超え、大阪府でも約4割を占めている。この母子避難世帯は二重生活を営んでおり、住居費等が生活費を圧迫している。世帯主の父母との同居割合は避難後は半分に減少しており、遠隔の親の介護の問題等も発生し始めている。就業状況に関して、両府県とも避難により正規雇用の割合が約半分に減少している。母子避難世帯からは子育てと仕事の両立の困難さが伺える。両府県とも平均収入は避難により減少している。 岡山県の避難者は関東地方からの避難者の割合が約8割と依然として大きいが、大阪府は福島、宮城、茨城、岩手からの避難者の割合が約8割を占める。大阪府は関西広域連合の下でカウンターパート方式により岩手県への支援に取り組んでいることもあり、東北地方からの避難者が多い。そのため大阪府の避難者の約7割が罹災証明書を有するのに対し、岡山県は約2割にとどまる。大阪府の避難者は公営住宅等に入居している割合が高いが、入居期限の延長を求める声も多い。大阪府の避難者は6割を超える世帯が定住意向を有する一方で公営住宅等の入居期限の延長や住居費の負担の軽減への支援が依然として求められている。 これらの成果はプレスリリースにより公表した。テレビ、新聞等の報道機関により多数の取材を受け、成果が広く公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行政の協力を得て継続的に行っている生活実態調査を今年度も行うことができ、所定の成果を得た。しかしながら震災からの時間の経過とともに本調査の有効回答率も低下しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度を迎えるにあたり、これまでの研究の総括を行う。東日本大震災という災害による広域避難者の避難、再定住行動の特徴や課題を明らかにすることにより、今後の避難者対策や災害対応の知見を提示することが目標である。
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