2015 Fiscal Year Research-status Report
塩生植物アッケシソウのバイオ燃料生産能と環境修復能の実証試験による評価
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15K11953
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山口 武視 鳥取大学, 農学部, 教授 (30182447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 真理子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20324999)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | アッケシソウ / 耐塩性 / バイオ燃料 / 除塩能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、日本に自生するアッケシソウが、現在農地として利用していない海岸部の土地や塩分集積で不毛となった農地において、トウモロコシやサトウキビに代わるバイオ燃料用作物となり得るかを圃場レベルで評価・検証することを上位目標としている。そのためには、アッケシソウを材料として、(1)耐塩性機構の解明および灌漑水の最適塩分濃度を検討すること、(2)圃場レベルでの試験を実施し、バイオ燃料生産能および除塩能を把握すること、(3)バイオ燃料用作物としての有用性を評価すること、この3点が本課題の目的である。 平成27年度は、本科研費が10月に追加採択であったため、申請時の当初計画では「圃場試験に用いる圃場造成と種子の増殖」はあきらめ、手持ちの種子を用いて、「アッケシソウの発芽・定着率の安定化に関する実験」を実施した。その結果、アッケシソウは25℃以上の温度で発芽率が向上することがわかった。これにより、限界播種期の設定が可能となった。 一方、「アッケシソウの養分吸収特性の解明」に関して、アッケシソウは、NaCl 100~200 mM培養液に含まれる環境下で、長さおよび生重量が最も大きくなった。外液と細胞液との浸透濃度の差により吸水することから、それが吸水成長を規定すると考えられるが、最も良く成長したNaCl 100~200 mMの処理区で実効の浸透濃度が最も高くなった。また、細胞液中の元素含量を調べたところ、細胞液の浸透濃度はNaにより高められていることが明らかとなった。さらに、根においては、Naのみならず、糖によっても浸透濃度が高められていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は、10月の追加採択であったため、当初の計画通りの進捗が得られなかった。そのため、「やや遅れている」と判断した。 しかしながら、来年度に土壌条件下で試験を実施する種子はある程度確保済みであり、播種適期になれば速やかに実験を実施することが可能であるので、遅れは取り戻せると確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は追加採択であったため、圃場レベルで実験できるほどの充分な種子を得ていない。そこで、平成28年度は、種子増殖をかねて、大型プラントボックスを用いて、生育に最適な有底の約1m四方の枠圃場(既存)を用いて、灌漑水深、砕土率、土壌硬度、土質などを変えてアッケシソウを播種し、発芽率、定着率を調査する。これにより、最適な土壌条件を定め、目標とする単位面積当たり個体数を確保する栽培技術を確立する。 また、実験室レベルでアッケシソウの生理生態的特性、特に養分吸収特性を解明し、施肥量を決定するための基礎データを得るとともに、培地の塩分濃度と植物体塩分吸収との関係から、除塩能を評価する。
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Causes of Carryover |
当該年度に必要なものはすべて購入し、実験も一区切りついていたため、5万円弱の残金であるので、次年度に繰り越すことが妥当と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の残はわずかであるので、平成28年度の物品費として計上した経費とともに、農業資材やガラス器具および化学試薬等を購入する予定である。
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