2016 Fiscal Year Research-status Report
高度連結巨大ネットワーク世界で生じる学際的トピックへのアルゴリズム論的アプローチ
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15K11988
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
浅野 孝夫 中央大学, 理工学部, 教授 (90124544)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルゴリズム / ネットワーク / 近似保証 / 組合せオークション / ナッシュ均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度連結巨大ネットワーク世界で起こる学際的研究トピックに対して情報学・経済学・社会学の総合的な観点からアルゴリズム論的研究を行うことが本研究の目的であるので、連携研究者と討論しながら研究を以下のとおり実行した。 1.高度連結巨大ネットワーク世界で生じる学際的トピックに対して、情報学・経済学・社会学の観点から系統的に資料収集・研究調査を行った。具体的には、この分野の研究を主目的とする国際会議、情報学の世界的権威の国際会議および国内の学会会議に基づいて資料収集を行うと同時に、これらの会議の発表者とその場で情報交換・研究討論して研究調査を行った。 2.高度連結巨大ネットワーク世界で生じる学際的トピックに対して、資料収集・研究調査で得られた知見と申請者のアルゴリズム研究を通して獲得している知見を合わせて、情報学・経済学・社会学の観点から有用となる理論的研究成果を提案した。とくに、インターネットオークションのモデル化であるアイテム入札に基づく組合せオークションにおいて、各参加者の評価関数が劣加法性を満たすときのナッシュ均衡の存在に対する未解決問題に対して、限界と可能性を明らかにした。 3.提案した理論的成果を大規模実物データを用いて計算機実験を行い、その有効性を検証した。なお、これらのアルゴリズムの提案および検証の計算機実験は、連携研究者の京都大学浅野泰仁特定准教授と綿密に研究打合せをして実行した。 4.研究成果を学会口頭発表論文、研究会論文、および国際会議論文(採択済みで発表予定)として発表した。また、国内外の研究者から評価・批判をもらい、情報学・社会学・経済学の総合的な観点から再検討した。その検討に基づいてさらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、本研究の目的は、高度連結巨大ネットワーク世界で起こる現実問題および潜在的問題に対する学際的研究トピックに注目して、情報学・経済学・社会学の総合的な観点からアルゴリズム論的研究を行い、高度連結巨大ネットワークシステムの科学的理解・体系化に貢献することである。その目的を達成するために平成28年度研究計画に基づいて、インターネットオークション(組合せオークション)における最適解と高品質なナッシュ均衡解の存在に関して研究を遂行するとともに、世界的権威の国際会議および国内の学会会議に出席してその場での情報交換・研究討論を通して最新の研究動向の調査と研究成果に対する情報・アイデア交換を精力的に実行した。また、ネットワークにおける重要な問題であるシュタイナー森問題に対するアルゴリズムの提案と計算機実験による品質検証も遂行した。これらの成果についても学会等で発表した。さらに、より詳細な内容を含む研究論文も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの資料収集・研究調査・研究打合せ・研究発表と国内外の研究者からの評価・批判の検討に基づいて一層研究を高度化する。さらに、高度連結巨大ネットワーク世界で生じる学際的トピックの研究の重要性が広く認識できるように、研究をより広範に深く進める。具体的には、ネットワークの位置におけるパワーと影響力、Braess(ブレイス)のパラドックス、情報カスケードと宣伝戦略、病気の感染と大流行、制度による行動の規制化などの社会学・経済学的な問題に対しても研究を行い、グラフ・ネットワーク理論、組合せ最適化、ゲーム理論の観点からのアプローチに基づく理論的成果を提案する。提案した成果の有効性を、インターネット上で公開されているデータセットなどを用いて計算機実験を行い、統計解析ソフトを利用して品質を解析して検証する。そして得られた成果を国際会議や学会論文誌で発表すると同時に、研究成果の全容を報告書にまとめ、高度連結巨大ネットワーク世界で生じる学際的トピックの研究に対するアルゴリズム論的アプローチの発展と普及に貢献する
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Causes of Carryover |
次年度の予算が90万円とやや少なめなので、研究遂行に支障が出ない範囲で、次年度の研究をより円滑に進めるための使用に回すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画では、物品費50,000円、旅費700,000円、人件費・謝金50,000円、その他100,000円、計900,000円としていた。今回9,549円を次年度使用額に回したので、それを含めて次年度は使用計画を以下のとおりとする。物品費50,000円、旅費709,549円、人件費・謝金50,000円、その他100,000円、計909,549円。この使用計画に基づいて研究をより円滑に進めることができる。
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