2015 Fiscal Year Research-status Report
モザイク変異を指標とした生殖細胞遺伝毒性試験の開発
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15K12205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内村 有邦 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教(常勤) (20513063)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新型シーケンサーを用いて、変異call時にヘテロ変異(50%)よりも低い頻度で検出されるモザイク変異をに注目することで、新しい遺伝毒性試験の開発を目指している。平成27年度は、新型シーケンサーから得られる結果の精度を確認するため、以下の研究に取り組んだ。 1. 新型シーケンサー解析で取り逃す変異頻度の推定:新型シーケンサーの1時データの中に擬似的な人工変異を二項分布に従う形式で導入し、それらの変異のうち、何%が正しく変異callされるか調べた。その結果、導入した変異のうち、99.98%が正しく検出され、変異callにおける取り逃しがほとんどない(偽陰性率:0.02%)ことが明らかになった。我々の新型シーケンサーの解析系の精度が極めて高いことが確認されたことで、解析結果について論文発表することが可能となった(Uchimura et al. 2015)。 2. モザイク変異の検出条件の検討:新型シーケンサーの解析で、低頻度でcallされた変異が、解析上のエラーによるものか、本当のモザイク変異であるか、確認するため、変異callの条件検討とサンガー法を用いた変異callの確認作業に取り組んだ。その結果、実際に体細胞組織中に存在する「モザイク変異」のみを高精度で検出することが可能な解析条件を見つけることに成功した。これにより、モザイク変異に注目した新しい遺伝毒性試験を開発するための実験条件を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新型シーケンサー解析の精度高い解析が必須となるが、様々な条件検討の結果、想定以上の精度を得ることができ、本研究で目指している遺伝毒性試験の開発の実現可能性が大きく増したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの実験結果についての再現性を確認するとともに、生殖細胞を対象にして同様の解析が可能かどうか解析を続けていく。
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Causes of Carryover |
計画では、論文発表のための英文校正や論文投稿費用に使用する予定であったが、実験を実施した結果、想定以上に重要な結果を得ることに成功したため、追加実験をして、より意義の大きな論文にまとめることになった。これにより、論文投稿の予定が延期されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早い時期には、追加実験の結果も揃うと考えられ、論文発表が可能になると考えられる。そのため、当該費用については、当初予定していた通り、論文投稿のための費用として、使用することが可能だと考えられる。
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Research Products
(5 results)