2016 Fiscal Year Research-status Report
みえないものの理解に基づく創造的デザインの学際的研究
Project/Area Number |
15K12291
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田浦 俊春 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00251497)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | デザイン / みえない / 潜在機能 / 直感力 / 概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,仮想現実感を用いてみえないものを可視化する方法と,みえないものをみようとする際にその根底に存在すると思われる直感力について検討した. (1)製品には,当初想定されている機能だけでなく,それが使用されていうちに見出される機能がある.たとえば,ヘアドライヤを使って靴下を乾かしたりするようなことである.この機能は,設計論では,潜在機能を呼ばれている.潜在機能は,ユーザーが製品を使用する段階で見出されることが多いが,事前に見出されると,より安全性や環境に配慮した製品や,より新規性の高い製品の開発につながると考えられる.本研究では,潜在機能は,当初想定されていた場面とは異なる場面に製品を持ち込むことで推論できると考え,異なる場を実現する方法として,仮想現実を利用することを試みた.具体的には,バーチャルリアリティ(VR)装置を用いて,製品と場の新たな関係において,どのような潜在機能が見出されるかを実験的に調べることを試みた.その結果,製品と関連が強いと感じる場の方がより多くの機能が見出されやすく,一方で製品と関連が弱いと感じる場の方がより多くの斬新な潜在機能が見出されやすいことがわかった. (2)意思決定では直観ないし直感が重要な役割を果たすといわれている.しかしながら,直観ないし直感の概念,とりわけ,デザインの創造性における役割ははっきりしていない.そこで,文献調査をもとに,考え方の整理を行った. その結果,「直観とは,経験によるパターン化に基づいて物事を瞬時に判断すること」であり「直感とは,感性に基づいて物事の有りようないし関連を感じとること」という定義を導いた.そうすると,直観と直感は対峙する関係にあり,直観は,実は創造性の妨げとなる可能性を含んでいることになることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は実施計画の策定に時間を要したが,昨年度には具体的に研究課題が決まり,実験も行うことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に得た知見を公表するとともに,国内外の研究者と意見交換を行い議論を深めたい.
|
Causes of Carryover |
研究成果の発表や公表のための費用として最終年度にまとめて使用するため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の発表や公表のための費用として使用したい.
|