2015 Fiscal Year Research-status Report
津波被災した地質標本の修復に関する予察的・実験的研究 次の南海トラフ地震に備える
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15K12450
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
川端 清司 大阪市立自然史博物館, その他部局等, その他 (80195130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚腰 実 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (80250257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波被災 / 標本レスキュー / 地質標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
○新潟県上越市から糸魚川市にかけて分布する上部鮮新統~更新統川詰層(8月21日)、長野県長野市に分布する上部鮮新統柵層(9月14日)、滋賀県湖南市に分布する更新島弧琵琶湖層群(11月5日)の地質試料を実験用の試料として採集した。 ○地学団体研究会糸魚川総会、日本地質学会長野大会に参加して、関連情報の収集と研究発表を行った。 ○3月13~15日にかけて、宮城県南三陸町、岩手県陸前高田市において地質試料を採集するとともに、東北大学学術総合博物館を見学し、津波被災した地質標本の修復後の経過についてヒアリングを行った。 ○福井県立博物館で開催された植物化石研究会(3月16~17日)に参加し、情報収集と意見交換を行った。 ○3月24~27日にかけて、愛媛県内の新生代植物化石を含む地質試料の採集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題として設定している、「津波被災を想定した、軟質岩を用いた地質標本の実験」において、試料の採集は順調に実施できたが、実験の初期条件をどう設定するのかという検討が進まずに、1年目の実験ができていない。平成28年度がはじまる早々には実験を開始して、遅れを取り戻す予定である。具体的には、年度前半には27年度に実施予定であった試行実験を実施し、年度後半に集中的に28年度の実験計画を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に記述した作業仮説に従い、津波被災を想定した予察的な実験を年度前半に実施し、経過観察を行う。実験には本研究で採集した軟質岩地質試料を用いる。 予察的な実験により、海水に浸水させた地質試料の変化を経過観察するとともに、塩分の結晶化による影響を検討する。引き続き実験を実施し、海水に浸水させた試料について、真水による脱塩処理について試行実験を行う。
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Causes of Carryover |
物品費によって購入した塩分濃度計(電気伝導率セルセット)が、複数業者による比較見積で、当初計画より安価に整備できた。同じく物品費で購入した顕微鏡デジタル撮影装置についても、新製品が発売されたために当初計画で想定していた機種と同等の性能を有する機種が安価に整備されたために、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画より遅れている、「津波被災を想定した、地質試料を海水に浸水させる実験」を効果的に実施できるよう、津波で浸水被害を受けた地質標本の安定化処理、修復後の現況調査 (陸前高田市立博物館、岩手県立博物館など)を再度実施し、実験の計画に反映させるための旅費に充当する。あわせて、実験に用いる地質試料の追加採集の旅費に充当する。
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Research Products
(3 results)