2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12636
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10103615)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 身体表現 / ファシリテータ / ワークショップ / 共創 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「てあわせ表現」を主活動とする共創表現ワークショップの実施:身体での共創表現のミニマムモデルである「てあわせ表現」を主活動として,年齢や性別,障害の有無等の異なる多様な人々が,共に身体で表現するワークショップ(120分)を,宮城県石巻市・東松島市で年間20回(各10回),石川県野々市市の生活介護施設で年間5回実施した.参加者は,石巻市が児童福祉サービスを利用する発達障害等の児童と職員20名,東松島市が発達障害児・者を含む一般市民40-50名,野々市市が重度障害者と施設職員20名であった. 2.ワークショップの記録と表現の検討:各ワークショップの様子は,2~3台のビデオカメラを用いて撮影し,参加者相互の身体的かかわりから生まれる表現の様子について,「てあわせ表現」の深化を示す5つのモードを参照しながら,各参加者の年間を通しての表現の変容を検討した.結果として,ワークショップの参加それぞれの表現が深化する方向性が確認された. 3.ファシリテータの動きや言葉がけの抽出と検討:それぞれのワークショップでのファシリテータの全体への言葉かけと参加者への動きや言葉での個別の対応を,時系列に沿って抽出・整理し,ファシリテータの側から捉えた相互行為に関する意味連関の時系列変化についての検討を試みた.言葉と動きの相互の関係性については,引き続き検討する必要のあることが確認された. 4.ファシリテータの内省の記述の収集と質的分析:ファシリテータと特定の参加者との「てあわせ表現」時の内省の記述を連続して収集し,修正版グランテッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いた分析が可能であるかどうかの検討を試みた.今後も記述を集積することで,M-GTAでの分析が有効になると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「てあわせ表現」を主活動とする共創表現ワークショップについては,現地の方々との協働を得て,順調に実施できている.また,ワークショップの様子の撮影については,参加者の同意を得て撮影を行うことができており,得られた映像を用いての表現の検討や,ファシリテータの動きや声かけの検討も予定通り進んでいる.一方で,ファシリテータの内省の記述については,まだ十分な記述量が得られていないため,今後は,現地ファシリテータ等の対象を広げ,記述量を増やす予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた身体での共創表現ワークショップを継続し,参加者相互の関係性の変容による表現自体の変容と,ファシリテータから捉える相互行為の意味連関の時系列変化に関する研究をさらに推進する.データの量が不足しているファシリテータの内省の記述については,今後は,ファシリテータ補助者である現地の参加者にも,内省の記述をお願いして量を補充し,M-GTAを中心とする質的検討へとつなげる.
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Causes of Carryover |
宮城県での共創表現ワークショップの実施に際しては,平成25-27年度の基盤研究(B)と費用分担が可能となったことから,当初予定していた会場費や交通費が削減できた.また,映像での記録を行うためのビデオカメラは,現有品を用いたため,カメラ等の物品の購入を行わなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
宮城県および石川県でのワークショップを前年度同様の頻度で予定しているため,旅費としての支出を計画している.また,大量の映像を保存・管理するための各種メディアが必要となる.内省の記述については,研究者以外の補助ファシリテータについては,インタビュー形式でのデータ取集を計画しているため,テープ起こしやデータ取集の謝金としての支払いを計画している.
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Research Products
(1 results)