2017 Fiscal Year Annual Research Report
Emotion regulation through listening to music after different initial mood states
Project/Area Number |
15K12690
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 理 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (90447011)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 音楽 / 感情 / fMRI / 同質の原理 / 脳機能 / 音楽療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスの多い現代社会において、音楽療法の有用性が注目されており、その基本原理に、患者の気分やテンポに合った音楽を聞かせることで(落ち込んだ時は暗い曲、興奮している時は明るい曲など・・・・)、精神的に良い方向へ向かわせることができるという「同質の原理」がある。しかしながら、そのメカニズムはよくわかっていない。本研究は、音楽療法による精神疾患への医療的介入を科学的に可能にする基礎を築くため、「被験者の不快感情生成時に、音楽を聴取させることによって、不快感情を緩和させるメカニズムを神経科学的観点から明らかにすること」を目的とした。 4名の被験者に対して、3種類の情動画像(快、中性、不快)を用いて初期的気分状態を制御した後、音楽を聴取させ、ジョイスティックによる主観的感情評価とfMRI撮像を行った。本研究の解析結果から、音楽聴取中において、初期的気分状態が中性の場合と比較して快の場合は右の扁桃体、左の海馬、右の尾状核での賦活がみられ、不快の場合は右の扁桃体と右の海馬の賦活が見られた。さらに、初期的気分状態が快の場合は、癒し音楽聴取時と比較して、興奮音楽聴取時の方が右側の扁桃体で、不快の場合は、右側の尾状核で有意に賦活があった。側坐核では、初期的気分状態にかかわらず、癒し音楽聴取時と比較した興奮音楽聴取時において、左側に賦活があり、音楽聴取の後半でfMRI信号が増加した。これらの結果は、神経科学的観点から、被験者の初期的気分状態と脳活動の関係を明らかにしたものであり、初期的気分状態の違いによって、音楽聴取時の脳機能賦活状態に相違が見出されたことは、音楽療法の基本原理である「同質の原理」の機構の一端をサポートしており、音楽療法の科学的基礎を築くための重要な結果であると考える。
|
Research Products
(1 results)