2015 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害児と家族の快適な社会生活をめざした情報共有システムの構築
Project/Area Number |
15K12730
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
森戸 雅子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (50389029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30441489)
武井 祐子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (10319999)
三上 史哲 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 講師 (80550392)
宮崎 仁 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20550396)
小田桐 早苗 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10461245)
岩藤 百香 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 講師 (80612986)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害児 / 情報共有 / 社会環境 / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
外見上には障害が理解されにくい自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:以下ASD)児は、ほとんどが家族とともに地域で暮らしている。ASDは、脳の特性から起こる発達障害であり、感覚刺激の処理にゆがみがある。しかし、多くの場合は知的障害がなく、場が読めない行動や奇異な行動などが目立つあまり、感覚異常にともなう本人の辛さは周囲から理解されにくい。家族の相談内容や調査からも、家族支援の方法が統合されず、地域における単独職種支援はあっても多職種連携として具体的な支援方法が確立されていない。ASD児家族の面接調査で、ASD児の感覚特性に伴う困難は、親でさえ理解しにくく、学校や病院等の専門職者に情報提供する際にも家族は苦慮していた。 上記に示した課題から、地域で暮らすASD児と家族を対象とした「ASD児と家族のための情報共有システムの構築」の必要性がある。文献や面接調査からASD児の感覚特性による社会生活にともなう困難の発生場所、場面、感覚特性にともなう家族の対処法を明らかにする。感覚特性にともなう困難や対処法、ASD児の成長発達に応じた変化や対処法の変更などを家族の面接や家族が残してきたメモや記録類を分析し、「ASD 児の感覚特性の内容(場所や状況)や家族の対処法」事例集を考案する。事例集は情報を電子化して、直感的な操作と持ち運びが容易であるiPadで閲覧できる情報システムを開発することにより必要な情報にASD児の家族が田とりつきやすい仕組みを考案する。H27年度は、ASD児の家族の面接内容やメモ、ASDの体験記などの書籍や文献から感覚特性に関係する内容を検討し、感覚特性にともなうASD児や家族の困難について在宅領域や学校領域での学会発表等や多職種での学習会を行い、理解を深めたり広めるための活動に努力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家族の面接調査、ASDの体験記、文献検討等から、ASD児の感覚特性について、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、前庭感覚、内臓覚、固有覚(筋肉・関節)等に分類して、iPad上で記録が保存できる仕組みを手掛けた。それを基に「ASD 児の感覚特性の内容(場所や状況)や家族の対処法」事例集作成に向けて、看護、学校、心理、福祉、情報、工学、デザイン、保健師等のメンバーで協議、検討を重ねている。また、家族の面接内容から、感覚特性をネガティブな捉えだけでなく、児の強みと捉えている側面もあったため、ASD児の困難場面と家族の対処方法だけでなく、児のプラスの側面も見えやすくできるよう、多職種で定期的に検討を重ねているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、現在進めている分析データから、ASD児が地域生活を営む場所、場面、状況と、五感(聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚)や前庭感覚、内臓覚、固有覚(筋肉・関節)等に関連した感覚特性の内容、家族の対処、成長に応じた変化内容や対処法の変更等を基に事例集を考案する。事例集は、内容を検討しながら、同時に現在感覚特性の分類に試用しているiPadの使い勝手の不備や活用方法など検討していき、事例集の完成に向けて行く必要がある。また、多職種で参加可能である学会等でASD児や家族の感覚特性にともなう情報提供の困難さや対処法などについて社会啓発していく。
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Causes of Carryover |
H27年度は初年度であり、成果発表にかかわる旅費を押さえ、H28年度にメルボルンで開催される国際学会において研究メンバーの異なる職種からの成果発表に備えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度にメルボルンで開催される国際学会において、看護、心理、福祉の立場からの成果発表の機会があり、情報発信する計画である。
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