2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12773
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 阿貴 筑波大学, 人間系, 助教 (30581764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 准教授 (20221955)
小川 園子 筑波大学, 人間系, 教授 (50396610)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 苛立ち / 攻撃行動 / マウス / 背側縫線核 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間社会において暴力は大きな問題となっているが、この暴力行為の引き金となる主な原因に、欲求不満による「苛立ち」がある。本研究はマウスを用いて、苛立ちに関わる神経回路を明らかにすることを目指すものである。攻撃行動が過剰になる神経メカニズムとして、脳内セロトニン神経系の神経核である背側縫線核(DRN)に着目し、DRNがどのような入力制御を受けた際に雄マウスの攻撃行動が過剰になるかを解析してきた。DRNは興奮性のグルタミン酸入力を受けており、雄マウスが攻撃行動を示している最中に、DRN内のグルタミン酸の放出が増加することが明らかとなった。興味深いことに、DRNグルタミン酸の放出は、他の雄マウスの存在が見えるが直接攻撃をすることができない、社会的挑発場面においても増加することが明らかになった。社会的挑発はその後の攻撃的出会い場面での攻撃行動を過剰にすることが知られており、本研究においても社会的挑発によって実際に攻撃行動の増加が認められ、それに伴いDRNグルタミン酸放出は更に増加した。このことから、社会的挑発場面にさらされている雄マウスは、実際に攻撃行動を行っていないにも関わらず、攻撃行動の強度を増加させる神経回路の活性化が起こっていることが示唆された。攻撃場面で興奮しやすく攻撃行動を始めやすい傾向には個体差があり、すぐに攻撃行動を示す個体もいれば、全く攻撃行動を示さない個体もいる。この個体差とDRNのニューロン活性に相関があることも明らかとなってきた。現在はDRNからの特定の投射神経回路について、光遺伝学的手法を用いて神経活動の操作を行い、その攻撃行動への影響を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
雄マウスが社会的挑発場面におかれた際に、背側縫線核におけるグルタミン酸増加が増加することや、攻撃場面で興奮しやすく攻撃行動を始めやすい傾向(苛立ちやすさ)と背側縫線核の神経活動の間に相関があることから、本研究の結果から背側縫線核のニューロンが苛立ちと関係があることが示唆されてきている。現在は背側縫線核からの特定の投射先への神経回路の活性を光遺伝学的手法を用いて操作することで、その役割を明らかにしようと試みている。苛立ちを生み出す他の行動テストの開発については遅れを取っているが、その他の点については順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
光遺伝学的手法を用いて、背側縫線核からの投射神経回路のうちいずれの脳領域への投射が、攻撃行動そして苛立ちに関わるのかを明らかにする。そして、この回路の活性が性ホルモンやその他の神経伝達物質などによってどのように制御されているかを調べる。また、遺伝的に苛立ちやすい系統において、その回路の活性が通常系統と比べて異なるかを検討する。
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Causes of Carryover |
免疫組織学的染色実験で用いる消耗品の購入が、実験の進み具合により遅れているため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この残額は計画通り免疫組織学的染色実験のための消耗品購入に用いる予定である。加えて、苛立ちを生み出す行動テストの開発にも遅れが生じており、そのテスト作成のための必要部品購入にも用いる。
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[Journal Article] Sex Differences in Nucleus Accumbens Transcriptome Profiles Associated with Susceptibility versus Resilience to Subchronic Variable Stress.2015
Author(s)
Hodes GE, Pfau ML, Purushothaman I, Ahn HF, Golden SA, Christoffel DJ, Magida J, Brancato A, Takahashi A, Flanigan ME, Ménard C, Aleyasin H, Koo JW, Lorsch ZS, Feng J, Heshmati M, Wang M, Turecki G, Neve R, Zhang B, Shen L, Nestler EJ, Russo SJ.
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Journal Title
Journal of Neuroscience
Volume: 35
Pages: 16362-16376
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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