2015 Fiscal Year Research-status Report
ニカラグアにおける障害者の生活実態に関する調査研究
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15K12788
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
田中 紗和子 杏林大学, 保健学部, 助教 (90732850)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニカラグア / 障害児・者支援 / 社会開発 / 国際協力 / 地域福祉 / 発展途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2015年12月に約3週間,①ニカラグアの障害児とその家族の生活実態、②調査者活動時の障害児支援施設で生じていた人々の関係変容と作業療法が果たした役割を明らかにすることを目的にニカラグアでの現地調査を実施した.本調査では,合計18名に対する半構造的インタビューと滞在期間中に出会った現地の人々との相互的な会話から,対象地域フィガルパにおいて,障害児とその家族の日常生活の様子や調査対象地にある障害児通所施設との関わりの内容などについて情報を得た.インタビューでは,(1)対象者の基礎的情報,(2)障害児とその母親の日常生活に関する情報,(3)障害児通所施設利用に関する情報,(4)施設におけるビーズ手芸活動実践に関する情報を,人々との関わりに着目しながら収集した. 本研究における当初の計画では,ニカラグアにおける障害者の生活実態を①地理的要因,②経済的要因,③障害児を取り巻く家庭環境要因,④心理社会的要因の4つの視点から分析するとしていたが,本調査を通じて,4つの視点で捉える以前に,障害児・者自身やその家族ひとりひとりの生活状況や人々との関わりを丁寧に聞き取り,記述していくことが,本研究の目的である障害者の生活実態を明らかにすることを試みるうえで非常に重要であることが明らかになった. 現地調査では,その他,法制度や統計などニカラグア国家による障害者支援の情報,障害当事者団体についての情報,フィガルパ市における障害者支援の情報を収集し,現地で障害者支援に携わる人々との繋がりを広げた. 現地調査以外では,6月の第49回日本作業療法学会では,ニカラグアで青年海外協力隊として関わった活動の継続性について,9月の第3回アジア太平洋CBR会議において,障害児支援施設という場が利用者にとってどのような役割を果たしていたかについて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,6月の第49回日本作業療法学会,9月の第3回アジア太平洋CBR会議を通じて,これまでの調査者によるニカラグアでの実践活動の通時的な記述および考察が大きく進展した. 現地調査を通じて,本研究におけるニカラグアの障害者の生活実態を明らかにするための視点や方法をより明確にすることが出来た.分析手法については,転換が必要だが,研究の進行に応じて検討を重ねていく.また,ニカラグアにおける障害者の生活や支援に関する基礎的情報収集をおこない,現地で障害者支援に携わる組織や人々との繋がりを広げることも出来た. 本年度は,次年度以降の研究進展に向けて,基礎的な情報収集および関連する組織や人々との繋がりを拡大することができたと同時に,研究の方向性がより明確になってきたため,初年度として研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,現地調査において,ニカラグアの障害児・者に関する情報収集およびニカラグアでの半構造的インタビュー調査をおこなった.また,学会発表や所属大学院における研究計画発表などを通じて,研究の方向性を検討してきた.2016年度上半期は,2015年度に収集した情報の整理およびインタビュー結果の分析を進める.4月には,本研究調査対象であるニカラグアの事例を担当した,河野眞編『国際リハビリテーション学―国境を超えるPT/OT/ST―』が発行となる.9月9日から11日にかけて開催される第50回日本作業療法学会では,ニカラグアにおける障害者支援に関する口頭発表をすることが採択されている.それらを踏まえ下半期は,再びニカラグアにおける障害者の生活実態について現地調査を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,予算計上していた現地調査における宿泊費が,調査地の人々の厚意により計上されなかったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,本年度よりも長期に亘る現地調査を予定しており,次年度の予算も,そのほとんどをニカラグア調査にかかる旅費のために使用する予定である.その他,北海道で開催される第50回日本作業療法学会での口頭発表にかかる費用も計上する予定である.
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Research Products
(4 results)