2015 Fiscal Year Research-status Report
法・会計・文化融合型の公共政策国際比較研究 チャリティ制度を事例に
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15K12993
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
出口 正之 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (90272799)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公益法人 / 公益認定等委員会 / 領域設定総合化法 / Charity / Charity Commission / クリープ現象 / 政策人類学 / フィランソロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.領域設定総合化法による法・会計・文化の融合 本年度は、法・会計・文化融合研究の「領域設定総合化法」という方法論に則り、連携研究者及び海外の研究協力者とともに、法学、会計学、文化の研究者による国際シンポジウムを公開で実施(COMPARING CHARITY COMMISSIONS IN NEW ZEALAND, UK, AND JAPAN, 8月23日)することができた。特に、英国で新しい法人制度となったCIOに対する議論が展開できた。ニュージーランドではCIOに相当する法制度が100年前に誕生したことが明らかになり、今後注目していきたい。また、ニュージーランドの非営利会計が規模別に分かれており、小規模法人には現金主義が適用されていることも明らかになった。
2.研究上の貢献:新概念の創出 研究の過程で、意図せざる解釈の差異から生じる政策の微動を「クリープ現象」という新概念によって説明することができた。また、東日本大震災後の公益法人への活動に関して、従来研究者がCause-Related Marketing(CRM)と呼んでいたものが、Service-Related philanthropy(SRP)と呼ぶべき内容であることを明らかにした
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法・会計・文化の融合研究という挑戦的な手法を採用したが、領域設定総合化法という方法論によって、研究メンバーが共通して議論ができる公益認定制度(チャリティ制度)に領域を限定したことから、研究が概ね順調に進んだ。ただし、連携研究者3名とは、土日を含めて共通して日程が取れる日がなく、当初計画したよりも全員で顔を合わせる機会は少なくなった。平素の共同研究作業は遠隔で行っており、大きな支障はない。また、研究協力者として予定していたニュージーランドのCarolyn J.Cordery氏との連携が予想以上にうまく進展した。予定外のことであったが、「チャリティ制度」について中国でも議論が深まっていることから、中国のシンポジウムに招待講演を行う機会が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
国際比較の強化。ニュージーランド、英国のほか、日本の法制度の影響も受け、公益認定の新法律が成立した中国や日本の公益に関する文化との摩擦が顕在化したスイス等の諸外国の制度の比較検討も視野に入れて、現地調査も実施する。 その上で、昨年に引き続き、法人訪問フォローアップ調査。研究会の実施(大阪)。国際学会へ向けて論文執筆準備・完成(法律・会計・文化を総合化した論文作成を目標)。 学会発表による研究の深化(国際学会The International Society for Third-Sector Research (ISTR) ストックホルム大会で発表。9月非営利法人研究学会で研究発表(成蹊大学))。
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Causes of Carryover |
当初、計画を予定していた連携研究者との研究会が、連携研究者(3名)の授業等の大学業務の関係で、次年度へ延期することになったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続して国内法人訪問調査を続ける。また、研究を深化させるため、国際比較の幅をいっそう広げる。具体的には日本の影響を受けて公益認定の新法が成立した中国、日本の文化との軋轢が顕在化したスイスなどの諸外国の制度も検討していく。 ストックホルムで開催予定の国際学会ISTR(International Society for Third Sector)で発表のため、連携研究者とともに出張を予定(7月)。海外の研究協力者も同学会に出席予定であり、同学会の開催中に研究会を実施予定。9月に非営利法人研究学会(成蹊大学)で発表するとともに、研究会を実施する。
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Research Products
(18 results)