2015 Fiscal Year Research-status Report
災害リスクのマルチレベル・ガバナンス―人間の安全保障と企業の社会的責任からの接近
| Project/Area Number |
15K12996
|
|---|
| Research Institution | Kobe University |
|---|
Principal Investigator |
栗栖 薫子 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00294968)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 聡 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10339202)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | CSR / human security / natural disaster / DR3 / global governance |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
2015年度中、三浦と栗栖は、第一に、共同研究の進め方についてEメイルならびに電話での検討を行い、また神戸でも会合を行った（2016年1月）。第二に、グローバル・ガバナンス関係のジャーナルや、自然災害への多様な主体の対応に関する先行研究の読み込みに力をいれた。
第三に、プロジェクト開始前からのこれまでの研究の延長線上に、本研究を行った。2015年4月には、本プロジェクト開始以前に三浦と栗栖が執筆したものではあるが、日本企業による国連を通じた協力に関する共同研究が、ケンブリッジ大学出版より、Corporate Social Responsibility in a Globalizing World (Tsutsui and Lym, eds.)の一章として出版された。
研究代表者の栗栖は、JICA研究所・ASEAN戦略国際問題研究所の共同研究を通じて行った、日本のステイクホルダーによる人間の安全保障認識に関する研究を公刊した（2016年3月掲載）。本研究とのかかわりとして、人間の安全保障にかかわる多様なキープレイヤーが、日本における人間の安全保障上のリスクとして、地震・津波などの自然災害を重視していること、政府・自治体・企業・市民社会の連携による包括的なアプローチの必要性が明らかになった。これらの点は、本プロジェクトの方向性を裏付けるものであった。また、防災・減災に関連して、楠綾子氏との共著により『防災をめぐる国際協力のあり方(仮題）』（近刊）の一章として、日本の防災・減災国際協力の歴史的展開について原稿を提出した。これらの研究は同様に、本プロジェクト開始前から着手していたものであるが、本研究の推進においても重要なデータと示唆を提供するものである。これ以外に、2016年2月には国際政治学の立場から災害研究を行ってきた研究者（韓国の高麗大学）と、神戸において意見交換を行った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度における、第一の研究目的は、関連する文献の読み込みであり、第二の目的は、防災・減災・災害対応（DR3)における企業の役割について、日本企業へ広範なの聞き取り調査を実施することであった。
第一の目的についてはほぼ予定通り進めることができた。他方で、第二の目的については計画通りに事業を進めることができず、規模を縮小せざるをえなかった。その理由は、主として、代表者である栗栖が出産ならびに0歳から1歳になる子どもの養育の時期と重なり、数度にわたる入院などに対処する必要があり、聞き取り調査のための出張の日程を入れることが極めて難しかったためである。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2016年度においては、2015年度に十分に進めることができなかった聞き取り調査を、まずは実施する予定である。これらは日本企業、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク、JICA、自治体などにおいて予定通り推進する。
そのうえで、理論的なモデル（仮）と聞き取り調査のデータとを突き合わせながら、より妥当性のあるモデルの構築をめざす予定である。
|
| Causes of Carryover |
進捗がやや遅れた理由としてもすでに記載したが、代表者が出産し、0歳から1歳になるこども育児中であり、子どもの入院などにともなう複数回の研究中断など、きわめて個人的な理由から、計画時においては予測できない展開となった。そのため、代表者は、当初予定したような出張を行うことができず、研究の多くの部分は、先行研究・文献の読み込みと分担者との理論構築に関する議論にあてられることとなった。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
代表者において研究が遅れた事情は、今年度は一定程度は改善されると予測される。
繰り越し分は、主として聞き取り調査のための出張費用とテープ起こしなどの人件費、また書籍など文献の購入、分担者である三浦との共著論文の公刊のための費用として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)
