2015 Fiscal Year Research-status Report
東アジア都市における多文化コミュニティの移民研究と地域福祉研究の接合に関する研究
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15K13086
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (00434613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 栄鎭 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 博士研究員 (70748227)
川本 綾 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (90711945)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エスニックコミュニティワーク / 多文化コミュニティ / 移民研究 / 地域福祉 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
地域社会における外国人と日本人との「共生」にあたり、地方自治体がいかなる役割をはたせるかを探るため、「外国人集住都市会議」へ参加し、地域社会での外国人居住の実態や地方自治体の外国人に対する諸施策などの実相についての調査を行った。 同会議は日系ブラジル人が集住する自治体で主に構成されているが、近年は通訳などの言語サーヴィスに関する施策が多く執り行われていることがわかった。 また、大阪府八尾市での外国人支援に関する実態と、それらの実施の経緯を明らかにするため、主に日本人に対するインタビュー調査を実施し、多文化コミュニティにおける地域福祉実践の有り様について検討を行った。なお、東アジアとの経験共有のため、韓国における移民コミュニティに対する地方政府の支援策や台湾での都市原住民に対する統合政策に関しても調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪府下の多文化コミュニティへの聞き取り調査に関しては、論文を発表したり関連書籍として刊行し、調査内容の報告を行った。なお、国際会議や学会・研究会など研究報告会にて、国内外の対象地域における社会的不利や地域の文化資源としての可能性に関する報告を行った。 一方、地域間の比較研究に関しては、今後更なる調査が必要であり、2年度以降、経験の共有に資するための調査や研究会の企画を計画中である。また、大阪府下Y市や大阪市内のN区における継続的な調査の実施に加え、オンサイトでの研究会の開催及び地元の住民や関連団体とのネットワークづくりを積極的に進めて行く予定である。 居住者への聞き取り等の調査を積極的に実施し、移民過程や定住生活における生活課題などを炙りだしていく中で、移民研究と地域福祉研究の接合のあり方を模索していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、国内外の多文化コミュニティの移民研究と地域福祉研究の接合に向けた継続調査として、居住者のライフヒストリー調査に加え、地域資源の実態についても調査を実施する。とりわけ日本では、大阪府下の二つの地域と兵庫県内の新旧移民の居住地に対し、移民政策の課題と人口及び地域変容のプロセスについて、重点的な調査研究を行う。近年、各地域の人口構成の変化が見られ、多文化的な背景をもつ住民の増加が見られ、異文化間の交流や、同一エスニックグループにおける文化継承等が大きな課題として表出している。 他方、人口の高齢化が進む中、地域内のエスニック資源の保存や継承に関しても課題が山積しており、各地域の現状や実態を明らかにしていく中で、そのような問題にどう対応していくべきか、地域に根付いた取り組みの地域福祉実践的な課題について考察を行いたい。これらの調査に関連する成果は、今年度開催予定の第6回東アジア包摂都市ネットワークワークショップや、本研究メンバーが所属する都市研究プラザ10周年記念シンポジウム、その他関連学会での報告に加え、報告書や書籍としてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度以降、本格的な調査を実施する予定であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連文献の購入費:移民政策や多文化コミュニティワークに関わる地域福祉関連文献の購入、旅費:国内外の先進的な取り組みをしている地域や団体へのヒアリング調査のための旅費、学会等の研究成果の発表に向けた参加費等の関連旅費、文字起こし費用:調査対象者から得た聞き取り内容のデータの文字起こしに関わる費用、専門家の諮問:研究会及びシンポジウム等の実施の際の、関連専門家への講師謝金等。
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Research Products
(15 results)