2015 Fiscal Year Research-status Report
複合的困難を抱えるDV被害母子の生活再建期における「積極的分離」
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15K13090
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
横山 登志子 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (00295916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 母子生活支援 / ソーシャルワーク / DV / 生活再建期 / 分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
①母子生活支援施設における事例研究は、施設の支援記録を時期区分に分けたうえで、前向きな意味をもたせた分離への支援がどのようになされたのかを分析した。支援の早い時期で分離の可能性が検討され、さまざまな出来事を経験しながら紆余曲折を経て最終的には母親が分離を主体的に決断できているが、その間、支援者の限界レベルを上げながらぎりぎりの支援がなされている状況がよみとれた。最終的に介入による分離ではなく、母みずからが分離を決断できたのは、職員によるねばりづよい生活密着型の母子支援、担当職員と母親の安定した関係性を基軸にした直面化を含む支援、関係機関との連携、状況の極まり、母親のSOS発信/職員のSOS受診能力などであった。
②関係機関へのヒアリングは、上記事例分析と平行して、先進的な実践を行っていると思われた母子生活支援施設(京都、2ヶ所)と民間のDVシェルター(大阪、1ヶ所)に、活動内容と分離ケースについての支援内容を聞いた。母子生活支援施設においては当該事例のような分離ケースの経験は切実であり、分離を主体的に選択できるような母親への支援について、実践的意義が確認された。
③当該事例の母親へのインタビューは本人の同意を得て合計3回実施した。施設入所前、施設入所中、分離への判断、現在の思いなどを聞いた。このデータは母親の立場からみた分離へのプロセスと判断内容を検討する素材とする。また、それ以外にも当該施設の入所者・退所者を対象としたグループワークでの発言内容なども得られたため、データ化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の①については現在、分析をほぼ終えて論文執筆中である。②についてはヒアリングを今年度も追加して行う予定である。③については母親へのインタビューを終了し、分析を行う準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、①関係機関へのヒアリングの追加、②事例研究(支援記録の分析)の成果の発表、③事例研究(母親インタビューの分析)の分析と成果のまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
関係機関へのヒアリングが校務等のため予定した内容で行うことができず一部となった。また、母親へのインタビューも5回を予定し、謝金、データ起こし費用を予定していたが、母親の都合により3回の実施(うち、2回の費用支出)となったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関係機関へのヒアリング(東京方面、愛知方面)を夏期、冬期に予定している。
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