2016 Fiscal Year Research-status Report
外国籍住民調査の結果から敷衍するソーシャルワーク倫理の新たな可能性
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15K13104
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
横田 恵子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50316022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 真紀子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10593494)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70437325)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多言語健康調査 / 滞日外国人と医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となった平成28年度は、滞日外国人に対し、本格的に多言語(タイ語,ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語、インドネシア語)を用いて医療・健康行動の調査の実施準備を行った。 昨年度(初年度、平成27年度)に行ったフィリピン語によるパイロット調査は、「外国籍住民の医療アクセス実態が示唆する文化障壁の諸要因:滞日フィリピン語コミュニティに対するパイロット調査から」(神戸女学院大学研究所「論集」2016.6., p.vol.63(1), p.141~160) として、成果発表を行っており、これに準拠して一斉に多言語で展開する予定であった。 しかし、それぞれの言語に調査票を翻訳する際のバックトランスレーション期間が思いのほか長引いたのみならず、対象言語のネイティブ話者を調査員としてリクルートし、その人びとに調査の手続きや回答者との対峙方法を理解して頂くためのオリエンテーションも難航を極めた。具体的には、「なぜそのような手続きで行わねばならないのか」「なぜ標準化するべきなのか」の理解・解釈が、それぞれの文化・慣習によって異なったのである。結果、計画は次年度までの延長を余儀なくされている。 現時点で振り返ると、この「調査員オリエンテーションの困難」「一定の手続きに準拠したコミュニケーションに基づく関係の構築を前提とし、それを遵守するよう要求すること」を巡って起こる日本人研究者と外国語話者との齟齬そのものが、「多文化であること」を研究者の側に突きつけており、次年度(最終年度)は、調査結果とともにこの「調査課程に生じるさまざまな齟齬」そのものも分析対象となることであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査員のリクルート、オリエンテーションにおいて、日本人研究者が前提(あたりまえ)としていた価値観や解釈が外国語ネイティブの調査員との間で文化的齟齬を生じることが多く、その調整と合意形成に多大な時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査票の回答の解析,分析に留まらず、調査実施までのさまざまな多文化プロセスを詳細に分析することで、当初の研究計画より意義のある結果を出すことができると思われる。研究計画そのものに若干の遅れはあるものの、基本的なプロトコルが変更されることはなく、予定通り進みつつある。
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Causes of Carryover |
研究スケジュールの遅れにより、一年期間延長を行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画に従い、最終年度となる2017年度は、5言語の調査票による実査とその解析を行う。
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Research Products
(1 results)