2017 Fiscal Year Annual Research Report
Medical Access Surveys for Foreign Residents in Japan: Implications for Ethics in Social Work
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15K13104
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
横田 恵子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50316022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 真紀子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10593494)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70437325)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 滞日外国籍住民 / 医療サービスへのアクセス / 多文化調査 / 文化間の価値等価性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、先行研究として前年度までに調査を終え、成果発表を行ったフィリピン語コミュニティに関する実査とその結果をふまえ、ベトナム語圏、スペイン語圏、ポルトガル語圏、インドネシア語圏、タイ語圏の外国籍住民に対して、同じ質問項目を用いて母語による「医療資源へのアクセス実態」を実施した。 調査票作成から実査に至るまでの手続きは、先行研究であるフィリピン語コミュニティに対するものと同様とした。まず、母語話者を研究協力者に加えてバックトランスレーションを実施し、翻訳調査票を確定したのちに、母語話者調査員による訪問面接調査を行うという、価値等価性に配慮した方法である。 回答者は、いくつかのエスニック・コミュニティ支援団体の呼びかけに応じた外国籍住民を対象に、調査に関わる倫理的説明とそれに対する承諾を得たのち実施され、各言語グループごとに30票が回収された。 回答者の属性傾向は、概ね11年(SD±8.6)の滞日経験をもち、50歳以下が8割であった。インフォーマル・ネットワークはエスニックコミュニティ内で概ね築けているものの、日常の日本語環境は豊富ではない。そのため回答者の8割以上が生活の中で身につけた日本語で日常を生きており、社会的・職業的水準での日本語の読み書きには大きな不足を抱えつつも、その習得機会に日本語教室などの正規ルートを組み込めないままでいる。 本研究の主な目的である医療へのアクセスについては、回答者の中に無保険者は殆どおらず、その点は社会的改善が見られる。さらに病気や怪我の際に病院に行く行動も、日常的に形成されていることがわかった。ただし医療現場では、7割以上の回答者が、医療者の話し言葉や処方・説明の書き言葉の双方において言語障壁を認めており、加えて、基本的な医療福祉制度へのアクセス方法や申告方法が殆ど理解できていないことも判明した。
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Research Products
(2 results)