2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13111
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹澤 正哲 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (10583742)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 文化進化 / 繰り返し学習 / 科学的発見 / 多峰型適応度地形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世代から世代へと情報が伝達されて行く過程において、たとえば科学や技術のような知識体系が、累積的に進化していく現象、すなわち科学の累積的文化進化を実験室内で再現し、知識がどのような条件の下で進化していくのか、そのメカニズムを明らかにすることにある。本年度は、多峰型適応度地形における探索課題を用いて、知識の累積的進化を再現する実験を実施した。昨年度に実施した科学的発見課題とは異なり、この課題では、参加者が次世代に伝達する知識の構造、その知識が次世代の参加者の探索プロセスに及ぼす影響を、定量的に評価できる。科学的発見課題においては、前世代に相当する参加者が自由記述したレポートを次世代に相当する参加者に提示するため、参加者がどのような知識構造を見出したのか、またそれがどのように次世代の参加者に影響したのか、定量的な評価が困難であった。また参加者の試行錯誤するプロセスを定量的に評価することも困難であった。科学的発見課題は、現実社会における知識発見課題を模したという点において有利な特徴を持つが、こうした欠点を兼ね備えている。多峰型適応度地形における探索課題の場合、人工的な課題となるため参加者に取ってのリアリティが減少する代わりに、定量的解析が用意となる。この課題を用いた伝達実験の結果を、知識が伝達されない個人実験と比較することで、情報の世代間伝達が個人学習(探索)プロセスに与える影響を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は多峰型適応度地形における探索という新たな課題を用いた実験を実施できたことにより、新たな知見が得られたためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進捗する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初は大規模な科学知識伝達実験を実施する予定だったが、代わりに小規模な多峰型適応度地形課題を用いた実験を実施したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に科学知識伝達実験を実施する予定である。
|