2017 Fiscal Year Research-status Report
医師のジェンダーの関与と、診療対話の視線と脳活動にみる、新しい医療交渉学の開発
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15K13121
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Research Institution | Graduate School of Health Care Science, Jikei Institute |
Principal Investigator |
秋沢 伸哉 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 客員教授 (50441142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達哉 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (90215806)
角田 圭雄 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10636971)
近藤 正樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20315964)
肥塚 浩 立命館大学, 経営管理研究科, 教授 (40243414) [Withdrawn]
三好 秀和 立命館大学, 経営管理研究科, 教授 (20454514) [Withdrawn]
田中 伸 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 准教授 (60413556)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療交渉学 / 視線行動 / 患者の満足度 / 顧客満足 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医師のジェンダーの要素を加味しつつ、対面角度と話題順序による患者の視線行動と脳活動を解析、検討することにより、患者の満足度を高める新しい医療交渉手法を開発、提案することを目的とする。患者満足度を向上する医療コミュニケーションの新たな方法論を構築することを目指し、患者と医師との対面角度に注目して、その実験評価と妥当性の検討を進めている。 27年度では、よりリアルな実験を実現するために実際に運営されているクリニックを実験会場として使用した。若手女性医師役による心理的な印象対応をアイトラッキングにて生理学データとして計測、収集することができた。さらに実験直後にアンケートと直接的に個人面接するにより心理的な印象について個別データを収集することができた。その分析・解析結果を成果発表会として発信することができた。29年度では、補助事業の目的をより精密にするために、医師役の見た目が対面角度の心象に影響する程度を評価する調査を実施する予定であったが、研究代表者および研究分担者の所属研究機関の変更等があり、転籍に伴う変更手続、研究環境の再整備、研究体制の再構築など想定外の事象が生じた。当該事案に伴い研究計画を再構築したため、所属研究機関の研究倫理審査委員会の申請対応等が遅延することとなった。医師の性年代による患者の心理的影響について検証を進められるようデータ分析・解析を行っている。 当初予定していた近赤外光脳機能イメージング装置(NIRS)による意識・無意識的な生理応答の評価については、計測方法として不適切であると判断するにいたった。これは近赤外光脳機能イメージング装置(NIRS)が、時々刻々と変化する心理的応答に対して、脳血流変化検出の遅延時間や脳部位の空間分解能力が低く、実際の状況把握が想定以上に困難であることが明らかとなったためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予期していなかった研究代表者および研究分担者の所属機関の変更等に伴う変更手続き、研究環境の再整備、研究体制の再構築のため29年度に予定していた当初の計画より進捗状況はやや遅れている。しかしながら研究環境、研究体制を改めて再検討、再構築する機会を得たことにより、実際のクリニックを使用した実験におけるデータを当初計画よりもより深く詳細にデータの解析作業を行うことができている。このため、本研究課題に対して、よりよい研究成果を挙げられるものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、医師役と患者役の性別の一致有無を加味した上で、総注視時間と総注視傾向との相関性を検討すること、対面角度を説明変数として注視時間、注視傾向を被説明変数とした分析を実施すること、対面角度を説明変数として患者満足度を被説明変数とした分析を実施すること等、患者の心理的影響について詳細に検討することを計画している。本年度は、これまでの研究の詳細な分析・解析、本研究の全体的総括を行いながら、英語学術論文の投稿に向けた執筆活動を着実に実行していくことを計画している。
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Causes of Carryover |
研究代表者および研究分担者らの所属研究機関の変更があり、転籍に伴う変更手続き、研究環境の再整備、研究体制の再構築など当初予期していなかった事象が生じたため、研究が当初の計画通り進行できない時期があった。 当初より進捗は遅れているものの、研究環境の再整備、研究体制を改めて再構築する機会を得たことにより、当初計画よりも実施した実験をより深く検討し詳細に分析することができている。患者の心理的影響について詳細に検証を進める計画である。本研究を全体的に総括し英語学術論文の投稿を行うことを計画している。
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