2016 Fiscal Year Research-status Report
行動経済学的アプローチによる家計運営モニタリング尺度の開発
Project/Area Number |
15K13123
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60352548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 龍一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60422622)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 家計 / 批判的思考 / ファイナンシャル・リテラシー / 行動経済学 / 夫婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
家計運営を検討する際の前提なる概念であり,本課題の先行課題である,ファイナンシャル・リテラシーの動向についてまとめる中で,批判的思考の重要性を指摘した論文を刊行した。さらに,ファイナンシャル・リテラシーについての概念整理を行うために関連する概念について尺度のレヴューを行った。さらに,家計運営そのものにおいて,種々の関連論文を収集する中で,行動経済学による知見から,批判的思考の認知的側面,情意的側面のみならず,批判的思考を阻害する側面が想定される可能性が浮上しており,さらなる概念整理の必要性が生じてきている。 また,先行課題におけるデータをまとめ,論文化を進めるとともに,日本発達心理学会において,「成人期男女におけるファイナンス知識・行動の横断的変化」を発表した。ファイナンス知識については,女性よりも男性が高いこと,年齢が上がるにつれて得点が上昇していること,しかし,正答率は概して高くはないことなど,OECD/INFEにおける諸外国の報告(Atkinson & Messy,2012)や,アメリカのJump$tartの正答率(58%)(Mandell & Klein, 2009)とおおむね同様の結果が示されていた。一方,ファイナンス行動については,年代に差は見られず,男女ともに論理的中間値3.0に届かず,こちらも高くはないことが示されていた。 その他,研究の実績としては,立命館大学の宇都宮博教授との共編著として『夫と妻の生涯発達心理学』を上梓し,担当章において,夫婦研究において家計管理に着目することの重要性を指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の先行課題であった「家計を中心とした経済リテラシーに関する生涯発達的研究」の研究期間を平成27年度まで延長したこと,ならびにそのレヴュー論文の概念整理に時間を要し,さらに,家計運営における批判的思考に関する概念整理においても,新たに「批判的思考」を阻害する要因を想定する必要が浮上してきたため,本研究課題の遂行が芳しくない状態となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,より広範に関連する文献を収集していくとともに,先行課題における調査データの分析を進め,「家計運営モニタリング」の概念整理を進めることとする。さらに,家計運営の意思決定プロセスの仮説モデルを生成し,本調査に向けて整理を進める。
|
Causes of Carryover |
先行研究課題の延長に伴う,全体的な計画の遅延により,本研究課題の根幹ともいえる家計運営モニタリングの概念整理に支障をきたしていたことに加え,行動経済学的知見に基づく,批判的思考の新たな側面に着目する必要が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
概念整理に必要な,ヒアリング等を可能な範囲で実施し,整理に努める。
|