2017 Fiscal Year Research-status Report
行動経済学的アプローチによる家計運営モニタリング尺度の開発
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15K13123
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60352548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 龍一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60422622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家計 / 批判的思考 / ファイナンシャル・リテラシー / 行動経済学 / 夫婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
先年度までに,行動経済学による知見から,批判的思考の認知的側面,情意的側面のみならず,批判的思考を阻害する側面が想定される可能性が指摘され,概念整理に取り組んだ。 また,先行課題におけるデータをまとめ,日本教育心理学会第59回総会において,「成人を対象としたファイナンス効力感尺度の開発」を,日本発達心理学会第29回大会において,「夫婦のファイナンス知識と夫婦関係満足度との関連―夫婦ペアデータによる分析―」を発表した。また,論文化を進めていた「成人期男女におけるファイナンス知識・行動・満足度の横断的検討」をまとめ,学内年報に寄稿した。この論文では,ファイナンス行動は,女性の方が男性よりも得点が高いにもかかわらず,満足感は女性よりも男性の方が高いこと,そして,ファイナンス知識に関しては,家計管理・運営という役割を担うことの多い女性たちが,より日常的な消費活動に関連する設問で高い正答率を示していたことが明らかになった。このことは,現代日本においても,「市場」と「家庭」という生産の場と消費・再生産の場として振り分けられた近代社会のジェンダー不均衡が照射されていると思料された。 その他の実績としては,日本家族心理学会第34回大会における大会企画ワークショップ「夫婦関係をめぐる生涯発達的研究の展望① -結婚から子どもの誕生にかけて-」において指定討論を,日本発達心理学会第29回大会,大会委員会企画シンポジウム「国際化・流動化時代における成人期発達研究の課題と展望」の企画・司会を行い,家計運営マネジメントにおける夫婦関係のありかた,並びに成人期発達研究としての位置づけについて思索を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度までに,家計運営における批判的思考についておける概念整理においても,新たに「批判的思考」を阻害する要因を想定する必要が浮上してきたため,本研究課題の遂行が芳しくない状態となっていた。そのことに加えて,平成29年度に日本発達心理学会第29回大会を東北大学で開催することとなり(大会委員長:本郷一夫教授),その事務局長に就任したことで関連業務に忙殺され,研究が完全に停滞してしまった。そのため,研究期間の1年間の延長を申請し,受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの先行課題における知見と,概念整理の成果を踏まえつつ,「家計運営モニタリング」の尺度項目を作成し,調査を行う。
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Causes of Carryover |
計画全体の遅延並びに,日本発達心理学会第29回大会の大会委員会事務局長として大会運営にあたり,研究にエフォートを割けず,研究期間を延長したため。
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