2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Family Finance Monitoring Scale
Project/Area Number |
15K13123
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60352548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 龍一 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60422622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家計 / 批判的思考 / ファイナンシャル・リテラシー / 結婚 / 夫婦 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,世界的な経済の自由化,流動化の中で,消費者の自己責任が問われるようになってきており,ファイナンシャル・リテラシーの向上が諸外国においても急務とされてきている。しかしながら,ファイナンス教育の効果に関する研究では,必ずしも,リテラシーが向上しないこと,その理由として,人間の消費活動は極めて非合理的なものであること,認知バイアスに着目する必要があることが指摘されている。そこで,認知的なバイアスに対しては,批判的思考が有効であること(平山・楠見,2004;West et al., 2008)を踏まえ,本研究では,行動経済学的なアプローチに基づいて,ファイナンシャル・リテラシーの一側面として位置づけられる家計運営に関する批判的思考を「家計運営モニタリング」とし,その尺度を開発することを目的とした。家計運営マネジメントに関する概念定義については,批判的思考における認知的側面,情意的側面に加え,批判的思考を阻害する要因についても検討を加えつつ概念整理を試みたが,十全な整理には至らず,今後の検討課題も残された。一方で,平山・楠見(2004)をはじめとした批判的思考のレヴューをもとに,20歳代~60歳代の成人男女を対象としてインターネット調査を行い,「論理的思考」「比較検討」「好奇心」「無批判的態度」の4下位尺度から構成される家計運営モニタリング尺度を開発した。限定的な定義に基づく尺度ではあるが,家計運営に関する測定尺度は,世界的にもあまり見られないことからも,一定の成果であるといえよう。 並行して先行課題の成人期のファイナンシャル・リテラシーに関する論稿を数本まとめるとともに,各種執筆したテキストにおいて,歴史・時代的変動の中で家族とその家計が変容すること,中でも近年,家族成員の諸問題に家計のあり方が関連することを指摘した。
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