2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性抑うつと心理療法のシアター&スポットライト仮説の研究
Project/Area Number |
15K13148
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
杉山 崇 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (40350821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 有里 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤講師 (00625501)
五味 美奈子 浦和大学, 人間学部, 講師 (20598669)
伊藤 美佳 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (30402019)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経験サンプリング / シアター&スポットライト理論 / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は文献研究、理論研究は昨年度までにほぼ終えることができ、本年度は他領域の研究者とも理論的議論を通じて、その臨床的な応用可能性を検討した。応用領域は発達臨床、勤労者の臨床、学校、学生相談、医療と多岐にわたる。その中でシアター&スポットライト理論に基づいて賞賛獲得欲求および自閉症スペクトラム特性について実証的な再検討を行った。成果は論文として公表予定である。 また、理論の実証研究には経験サンプリング法を用いたコミュニティサンプルを対象にした介入研究が必要との結論に達し、そのためのツールの準備を進めた。具体的には心理学的反応のとしての抑うつ感を、前部帯状回の活動に基づくワーキングメモリ実行機能に基づいて定義し、同じワーキングメモリ実行機能に由来すると考えられるパラノイア感とと区別を通して測定尺度を作成した。この測定尺度の信頼性と妥当性の検討を行ったところ、信頼性はかなり高いことが示唆された。妥当性は被受容感・被拒絶感、既存の抑うつ尺度との関連において示唆され、また被受容感と賞賛獲得欲求の交互作用、および社会的退却や疲労感との関連において示唆された。併せて作成したパラノイア感尺度とともに、症状ではなく心理的反応を測定できる優れた尺度を提供できたと考えられる。この成果は論文として公表予定である。 このように、研究に必要な尺度開発は順調に進んだものの、経験サンプリング法に必要なツールの日本語版にバグがあることが判明し、分担研究者と開発者が協力してバグの修正に当たった。分担研究者の尽力でバグは修正されたものの、研究実施が大幅に遅れた。結果的に1年間の研究機関の延長を申請することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経験サンプリング法による実証研究を計画していたが、同方法を実行するためのツール(Paco)の日本語版にバグがあることが準備中に判明した。分担研究者が開発者と協力して修正が完了したが、一定の時間を要したため研究期間の延長となった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画していた経験サンプリング法による実証研究を遂行する。遂行後、速やかに学術集会および学術誌にその成果を報告する。併せて、理論研究の成果の公表も急ぐ。
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Causes of Carryover |
経験サンプリング法の実施に関わるツール日本語版のバグの修正のため研究の実施が遅れ、そのための経費を2018年度に執行することになったため。
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Research Products
(7 results)