2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K13154
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Research Institution | Ikenobo Junior College |
Principal Investigator |
山中 祥子 池坊短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (30580021)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食行動 / 食器 / 摂食量 / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
何をどのくらい食べればよいのかという食品の質と量の把握は、栄養学を学んだことのない人にとっては容易ではない。特にどのくらい食べるかといった量の把握は、栄養のバランスを考える上でも体重管理においても重要であり、また空腹等の生理的要因のみならず、食器の大きさといった環境の要因が予想以上に摂食量に与える影響が大きく、また大きな空間にはより多くの食物を盛りつける傾向があることが明らかにされているから、本研究では区切のある皿を用いて食材を空間の大きさに合わせて盛り付ける(食べる)ことを成人(男性4名女性7名 平均年齢48.36歳 SD:13.12)を対象に検討した。本研究の目的は近年、野菜の摂取量が目標量の350g/日を下回っていることから、単純に大きな空間を指定することで実際に野菜の盛りつけ(摂取)量が増加するかを確認することであった。使用した食材はカット野菜、からあげ、ポテトサラダ、ピラフで、1回目(ベースライン)はこれらの食材を自由に食材を盛りつけてもらい、野菜の盛りつけ位置を一番大きな空間に指定した2回目の条件時との各食材の盛りつけ量を比較した。その結果、予測に反し、野菜の盛りつけ量の有意な増加は示されなかった。これは、今回、より自然な食事場面とするために指定条件において野菜が入っていれば野菜だけでなく他の食材も同じ空間に盛りつけることを可としたことによると考えられた。この条件により、参加者11名のうち10名が野菜とポテトサラダ、または野菜とからあげを大きな空間に盛りつけた。結果、野菜と一緒にポテトサラダと盛りつけた参加者では、野菜とポテトサラダの両方がベースライン時よりも有意に増加していたことから、空間の大きさに応じて盛りつけ量が増加するという先行研究の結果を部分的に支持したと考えられた。さらに組み合わせを工夫することで野菜の摂取量全体を増加させる可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
28年度は、上記の皿を用いた摂食量の変化とともに、身体運動による食物への潜在的態度の変容を検討する予定であったが、この検討のためのプログラムソフトがうまく機能しなかった。また、プログラムを実行するための周辺機器(ジョイスティック)についても、予定していた商品の日本での販売が中止となっており、入手そのものが困難であったこと、さらに並行輸入品での入手であったため、動作確認等のフォロー体制がなく、思った通りの動きをさせるまでに時間がかかってしまったことが、研究が遅れてしまった一番の理由である。また、参加者についても、今年度は学生の授業の空き時間と実験者である私の空き時間との都合が合わず、予定していたスケジュール通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験プログラムについては現在も調整中であるが、できるだけ早期に実験に入れるよう準備する。また学内での実験については、学生数が少なく、短期大学であるため授業スケジュールが過密であり、空き時間の少ない本学学生のみを対象とした実験計画ではデータの確保が難しいため、学外での協力を視野にいれた計画に変更する予定である。また、今年度は三重県在住の内科医に協力を依頼している。研究代表者である私自身の担当コマ数も多いため、なかなか三重まで行けず、実施時期が延びてしまっていたが、前期授業が終了する夏期休暇中に三重での食器を用いた介入を開始するため、現在、参加者の募集を行っている。
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Causes of Carryover |
今年度は、予定していた参加者の確保ができなかったことに加え、各自に皿を渡し自宅での食事内容を記録してもらうという計画から、自宅ではなく学内で指定された食材を利用した盛りつけへと内容を少し変更したため、皿を配布する必要性がなくなったこと、さらに謝金という形ではなく、盛りつけた食材を1回分の食事として提供することで、謝礼としたことが、次年度使用額が生じた最大の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、参加者の募集を学内に限定せず学外にも広げる予定であり、この際には謝金が必要になると考えている。また実験手法についても学内で、私が個別に実施するだけでなく、可能であればインターネット等による実験実施の可能性も視野にいれ、機材の購入や通信費の確保に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)