2016 Fiscal Year Research-status Report
新たな学校ガバナンスにおける「教育の専門性」の再定位
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15K13172
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱田 博文 筑波大学, 人間系, 教授 (20212152)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育の専門性 / 教職の専門性 / 官民一体型学校 / コミュニティ・スクール / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年6月11日に日本教育経営学会第56回大会(京都教育大学)において研究成果の途中経過を発表した。国内の事例としては、教育委員会や学校に積極的に非教職の人材を登用して意思決定参加を進めている大阪市の事例を分析した。また、米国の事例としては、教員自身の自主的な取り組みとして立ち上げられ普及してきたNBPTSによる「教職の専門性」保証の任意資格の取り組みを取り上げ、その普及過程で州・学区の教育行政施策との関係を深めることが「教職の専門性」の他律性につながってはいないかという疑問を提示した。発表内容に対して、「教育の専門性」「教職の専門性」「教育行政の専門性」の異同の整理、あるいは民間企業による学校経営や教育行政への参入をいかに把握すべきかなど、本研究を進める上で重要な意見を得ることができた。 7月以降においては、学校ガバナンスの国内事例調査を、N県内のコミュニティスクールと、S県で官民一体型学校を推進するT市の2カ所に絞って実施した。コミュニティスクールの事例では、中学校区を一体として地域の育成協議会と学校が連携して学校経営の仕組みを変えてきた事例であり、そこで学校運営に参加する立場の住民と、校長、教員に対するインタビュー調査を実施した。官民一体型学校については、市内の2校の訪問調査を行い、教育委員会事務局、教員、保護者のインタビュー調査を実施した。また、あわせて関与している民間企業の関係者にもインタビューを行った。これらを通じて、学校と教育委員会の当事者が「教育の専門性」と「教職の専門性」に対してどのような意識を抱いているか考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査と研究打ち合わせ会に多くの予算を使用したため、当初に予定していた米国調査を行うことはできなかった。しかし、研究の途中経過を学会で発表することができ、年度当初に立案した計画に基づいて調査を実施することができた。また、調査で得られたデータに基づいて研究打ち合わせ会において研究主題を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
米国調査を実施することは予算上困難になったが、国内事例調査を深めることができたので、引き続き、国内調査を進めながら、共同研究メンバー間の議論を進め、考察を進めていく。
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Causes of Carryover |
3月に国内調査を実施したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ほぼ次年度使用額はなくなっている。次年度の学会発表、国内調査、及び研究打ち合わせ会の旅費ですべて使用する予定である。
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