2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K13185
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
廣森 直子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40315536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 佳緒留 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (60106010)
平川 景子 明治大学, 文学部, 専任教授 (40318663)
野依 智子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40467882)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 労働の主体性 / エンパワメント / 社会教育 / ジェンダー / 働きにくさ / 社会的排除 / ワーカーズコープ / 労働者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代日本社会で求められる「労働の主体性」について社会教育学的探究を行うことを目的としている。労働の多様化が否応なく進行している現在、「働くこと」にかかわっての主体性の形成がますます重要となっている。今日では、どのように働くか、どんな働きかたをしたいか等について、一人ひとりが孤立的に自己決定せざるを得ない事情も広がっている。新自由主義的な「自己決定・自己責任論」を乗り越え、働く者としての主体性をどうつくり、どう確保するのか、その際の課題や展望はいかなるものかについて、調査研究により多様な事例を収集し、「働くこと」にかかわっての主体性がいずれにあるのか、事例分析を通して明らかにし、研究活動を通じての研究ネットワークの構築をめざしていく。 平成28年度は、研究分担者、研究協力者らによる定期的な研究会を行いながら、社会教育学会においてラウンドテーブルを2回開催し、議論を重ねるなかで研究ネットワークの構築をめざした。ラウンドテーブルは、昨年度に実施した「働きにくさ」についてのテーマをベースにしながら、“「よい仕事」とはなにか”、“非正規職シングル女性の抱える課題”をテーマに行った。ワーカーズコープの事例から「よい仕事」をつくりだす実践とそのめざすものについての報告、非正規職シングルの女性を対象にした調査報告などから、「労働の主体性」の課題について検討し、ラウンドテーブル参加者から多様な論点が指摘された。 また、研究分担者、研究協力者らとともに、特定非営利活動法人 ZUTTO (大阪府豊中市)を訪問し、シングルマザー支援をめざした働く場づくり、子ども食堂や居場所づくりなどの地域展開の実践について見学および活動内容についてのインタビュー調査を行った。また、UAゼンセン 中央教育センター 友愛の丘(岡山県)を訪問し、組織的な労働者の学びの場についての見学、インタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、研究計画にある社会教育学会におけるラウンドテーブルの開催(6月、9月)、定期的な研究会の開催(6月、8月、9月、2月)、共同研究者による調査訪問(8月、2月)を実施した。収集した事例の分析、ラウンドテーブルでの議論で指摘された論点を深める考察などはまだ十分でない点もあるが、研究分担者が各々で検討を行っている。今後も研究会の開催などによって研究ネットワークを維持して問題意識や課題の共有を行い、さらなる事例収集や考察に役立てていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、社会教育学会において2回のラウンドテーブルの開催を予定しており(6月、9月)、それによってさらなる議論の深まり、研究ネットワークの構築を図る。また、共同研究者による新たな事例調査を計画し、事例収集に努める。定期的な研究会の開催により、問題意識や課題の共有を行い、考察を深め、報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
研究計画で予定しているラウンドテーブルの開催予定地が東京都、埼玉県のため、外部からの報告予定者の旅費、平成29年度実施予定調査のデータ入力、報告書印刷費等にあてるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費については、定期的な研究会の開催のための旅費、ラウンドテーブル開催にかかる報告者、共同研究者の旅費、研究成果の発表のための旅費、共同研究者の訪問調査のための旅費に使用する予定である。また、調査結果分析等に係る物品費、人件費・謝金等を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)