2017 Fiscal Year Annual Research Report
Education to reduce prejudice: Research on the effect of the Human Library
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15K13212
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
坪井 健 駒澤大学, 文学部, 教授 (00119108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 和宏 獨協大学, 外国語学部, 専任講師 (70364726)
横田 雅弘 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (90200899)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 偏見の低減 / 親密な対話 / 人間図書館 / 演劇的仮想空間 / 異文化間能力 / 社会関係資本 / ナラティブ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、偏見の低減のための実践であるヒューマンライブラリー(以下HLと略す)の教育的効果に関する初めての本格的研究である。その概要は以下の通りである。本研究の全体は、1.既存の関連研究と絡めた理論的アプローチとアンケート調査による統計的アプローチ、国内外の実践者へのインタビューや実践報告による事例的研究で構成した。2.具体的には、1995年11月以降、2017年5月まで各地で開催されたHL参加者(本役、読者役)へのアンケート調査、さらに10か月後の追跡調査を実施した。その結果、HLの事前事後のイメージ変容、偏見の低減効果、自己への気づきなど自己拡張効果、ナラティブによる肯定的自己概念への変容効果、さらには10か月後の持続効果などが明らかになった。3.豪州の事例を含む国内外の多様な実践事例からは、イベント開催の目的や対象、文化的背景によるHL実践形態の違いも明らかになった。4.理論的アプローチからは、HLの親密な対話が身近な異文化への気づきや受容を生み出し、異文化間能力の育成効果があること、「本」のナラティプ効果からは、自信の回復、新たな勇気、対人関係の再構築に寄与するメカニズムも明らかになった。5.学生のアクティブラーニングとして実践した場合、自己拡張性などの教育的効果があること。6.また、HLをまちづくりに活用した場合、ブリッジ型社会関係資本を強化し、コミュニティ活性化効果も期待できること。7.HLはリピーター率が高く、参加者には期待以上に対人関係改善効果を感じられる実践になっており、そうした現代社会におけるHLの機能も示された。8.また、今後HLの多様な教育現場(学校・社会・職場)での実践の可能性と共に、臨床心理から異文化間教育学・社会学に及ぶ多彩な研究的アプローチが可能であることも明らかになった。成効果によるまちづくりへの貢献も期待できることが明らかになった。
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Remarks |
ヒューマンライブラリーの実践と研究交流の活性化を目指して2017年10月「日本ヒューマンライブラリー学会」を立ち上げ設立(第一回)大会を開催した。本学会の継続的発展を期してWebサイト上に学会のホームページを開設した。学会設立とホームページの開設によって、各地の実践者や研究者の動向が可視化され交流が活性化した。その結果、本研究プロジェクトにも多いに貢献した。
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Research Products
(10 results)