2015 Fiscal Year Research-status Report
学校用「いじめアンケート」の限界と効用に関する実証的研究
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15K13245
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
滝 充 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (50163340)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | いじめ / 未然防止 / 早期発見 / アンケート / PDCAサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平成25年に制定された「いじめ防止対策推進法」に基づく各学校のいじめ防止や早期発見の取組に役立つ、各学校の目的に即した、実施しやすく、精度の高い(認知率の高い)「いじめアンケート」を、実証的な裏付けと共に提案することである。 現在、各学校で実施されている「いじめアンケート」には、いじめの原因や背景を分析する目的の学術研究用質問紙や学級診断を目的としたアンケートの安易な流用が見られるなど、実際に学校が行うべき取組とは合致しないものが少なくない。本研究の知見により、日本全国の学校の取組にアンケートの結果がよりよく活かされ、いじめを減らす上での一層の進展を目指す。 初年度の取組として行ったのは、(1)協力校の選定:小学校4校、中学校2校の協力校をお願いした、(2)基準となる調査の実施:国立教育政策研究所が行ってきた「いじめ追跡調査」、同じく国立教育政策研究所が実施してきた「社会性変容調査」について、匿名性を確保した上で記名式で実施した、(3)各学校が行った調査結果の収集:各学校がいじめを発見することを目的として実施している様々な調査(生活アンケート、教育相談アンケート等)の様式と結果を収集した、の3点である。今後、それらの結果を突き合わせることにより、記名式と無記名式、ワーディングや実施回数等による違いを検討していく予定である。 なお、海外の研究者からの情報収集として、オーストラリア(パース)で質問紙調査を実施している研究者を訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、(1)匿名性を完全に担保して実施される「A調査」、(2)正確な実態を把握できるよう無記名で実施される「B調査」、(3)被害者・加害者の氏名を知るために記名式でなされる「C調査」、の三種類を実施する予定であった。 しかし、初年度は、(1)匿名性を完全に担保して実施される「A調査」、(2)正確な実態を把握できるよう匿名性を簡易式に担保した記名式で実施される「B’調査」、(3)被害者・加害者の氏名を知るために各学校が記名式で独自に実施した「C’」調査を実施することとした。 これは、類似の調査が重なることによる児童生徒の負担を軽減するための措置である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は、2年次目ということで、当初計画の(1)匿名性を完全に担保して実施される「A調査」、(2)正確な実態を把握できるよう無記名で実施される「B調査」、(3)被害者・加害者の氏名を知るために記名式でなされる「C調査」に近づける予定である。 すなわち、(1)匿名性を完全に担保して実施される「A調査」、正確な実態を把握できるよう無記名式で実施される「B調査」、(3)被害者・加害者の氏名を知るために各学校が記名式で独自に実施する「C’調査」を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2年次目以降、データ処理用にノートパソコンを準備する必要が生まれたが、2年次目に十分な予算がないことから、1年次目に節約して対応することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度前半に、適当な機種を購入する予定である。
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