2015 Fiscal Year Research-status Report
全固体リチウム二次電池の実現に向けた高電位正極材料の創製と電極界面のナノ構造制御
Project/Area Number |
15K13300
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 泉 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00217126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高電位正極材料 / リチウム二次電池 / 全固体二次電池 / 噴霧熱分解法 / ナノ構造材料 / ナノポーラス材料 / ナノ接合界面 / 燐酸コバルトリチウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、噴霧熱分解法により、LiCoPO4ナノ構造多孔質粒子の合成を行った。合成にあたり、内径90 mm、有効長さ1860 mmの自作の噴霧熱分解反応器を用いた。なお、この装置は現有設備である。原料塩としては、LiH2PO4、硝酸コバルトを用いて、これを目的物質の量論比で蒸留水に溶解させ、原料溶液を調製した。さらに、この溶液に数十ナノメートルの一次粒子からなる親水性カーボンを分散させた。この原料溶液を、超音波噴霧器を用いてエアロゾル化し、空気ガスにより噴霧熱分解反応器に導入し、目的物質の合成を試みた。合成は、噴霧熱分解温度およびカーボンの添加量を変えて行った。 合成した試料の結晶相の同定は、粉末X線回折により、表面形態および内部構造の観察はSEMおよびTEMを用いて行った。また、窒素吸脱着法により細孔径分布の測定も行った。さらに、合成した試料を正極活物質として用い、負極に金属リチウム、電解質は通常の有機電解液を用いてハーフセルを作製、合成した正極の電池特性を評価した。 その結果、原料溶液に親水性カーボンを約1g添加し、さらにpH=4になるようにアンモニア水溶液を加えて、600℃で噴霧熱分解することで、多孔質ナノ構造を有するLiCoPO4の合成に成功した。また、この正極材料のリチウム二次電池特性を評価したところ、60 mAh/gの初期放電容量を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成した燐酸コバルトリチウムは、リチウム二次電池の正極活物質として機能したが、放電容量がそれほど大きくないため、これを平成28年度に改善する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえて、まず、燐酸コバルトリチウムの充放電容量の改善を試みる。その方法としては、噴霧熱分解後の試料を遊星ボールを用いて湿式で粉砕すると共に、その操作の際、カーボンを添加することで、燐酸コバルトナノ粒子とカーボンが複合化したナノ構造体を合成する。また、この材料を正極活物質として、昨年同様、電池性能評価を行う。このアプローチで、理論容量の80%以上の放電容量が得られた段階で、次の研究課題に進む。即ち、合成した燐酸コバルトリチウムとカーボンのナノ複合体表面にイオン導電性物質であるLi1.07Al0.69Ti1.46(PO4)3をマイクロ波加熱を利用したゾルゲル法によりコーティングを行う。これにより得られた試料は、交流インピーダンス法およびコインセルを用いた充放電サイクル試験により、その電気化学特性の評価を行う。
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