2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an in-situ method to observe CVD growth by black body radiation
Project/Area Number |
15K13346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉木 幸一朗 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (70143394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学気相成長 / グラフェン / 熱放射顕微鏡 / 成長機構 / 単一ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに開発した熱放射顕微鏡(黒体輻射顕微鏡)装置を用いてグラフェンの成長過程の観察および大面積単一ドメインの成長条件の探索をおこなった.熱放射顕微鏡装置において,Cu基板をグラフェンの成長位置でスパッタクリーニングをおこない,グラフェン成長過程,特に基板の事前処理が核密度に与える影響を詳細に検討した.Ar中の加熱に加えてArイオン照射(2 keV, 4μA/7x6mm2)を2時間おこなった後にグラフェン成長をおこなうと,核密度は662/mm2から16/mm2へと低下した.さらにイオン照射をおこなうと5/mm2へと低下した. アニール,イオン照射,グラフェン成長の全過程を熱放射顕微鏡で連続観察し,特に成長前にCu基板上に観測される輝点の振舞いとグラフェン成長点の関係を追跡した結果,高い確率で核発生点となる輝点は炭素不純物であり,輝点以外からの核発生も微小な炭素不純物からなるものと推察された.この炭素不純物には揮発性,不揮発性の二種類があり,通常のアニールでは揮発性および不揮発性のうち大きさが小さいものが除去されて核密度が減少するが,大きな不揮発性の炭素不純物は残存して核発生点となる.イオン照射はスパッタリングで不揮発性不純物の大きさを小さくし,成長時に昇温で除去されやすくなる. このモデルを検証するため,Cu基板上でイオン照射密度を変化させグラフェン成長したところ,照射密度が高い領域では核発生密度が極めて低くなり,1/mm2以下の領域が得られた.最終的に大きさが1mm以上の単一ドメイングラフェンの成長が観察された. 以上の結果から,黒体輻射を利用したCVD(化学気相成長)その場観察法の開発に成功し,ホットトピック物質であるグラフェンの成長過程の解明,さらには大面積グラフェン成長の手法を確立し,当初の目的以上の成果を達成した.
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