2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三枝 洋一 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (70526962)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 局所ラングランズ対応 / 非可換ルビン・テイト理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
GL(n)の局所ラングランズ対応と関連が深い幾何学的対象として,ルビン・テイト空間と呼ばれるリジッド解析空間がある.p進体の素数次巡回拡大E/Fに対し,そのGalois群の作用をルビン・テイト空間へと組み込み,そのふるまいを分析することで局所ラングランズ対応の理解を深めることが本研究の目的である. 本年度は,E/Fが2次拡大の場合に「捻り作用素」と呼ばれる自己同型をGL(n,E)のルビン・テイト空間に定めることに成功した.この作用素と以前に証明した非尖点性の結果を組み合わせることで,2次拡大E/Fが高々馴分岐な場合,E/Fに関して共役自己双対的な超尖点表現πのラングランズパラメータの符号が,πのJacquet-Langlands対応による像を用いて記述できるという結果が得られた.ラングランズパラメータの符号は,πがユニタリ群の表現の標準底変換になっているか,あるいは捻られた底変換になっているかを区別する不変量である.応用として,共役自己双対的な単純超尖点表現のラングランズパラメータの符号を完全に決定することもできた. 上記の結果は,πが自己双対的な場合のPrasad-Ramakrishnanによる同様の結果の部分的な一般化となっている.我々の方法は幾何学的であるため,p進体だけではなく等標数局所体の場合にも証明が通用するという長所がある.一方,Prasad-Ramakrishnanの結果においては,超尖点表現だけではなく離散系列表現も扱うことができている.本年度の成果を離散系列表現へと拡張することは,次年度以降の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
E/Fが2次拡大の場合に,ルビン・テイト空間に捻り作用素という新しい作用素を定義することができ,それを通して,共役自己双対的な場合のラングランズパラメータの符号とJacquet-Langlands対応の関係という,新しい表現論的現象を発見することができた.一方,捻り作用素は基礎体上の自己同型にはなっておらず,当初探していたものとは少し違ったものとなっている.このように,計画の一部は予定よりも大きく進展したが,そうでない部分もあるため,全体としてはおおむね順調な進展であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた捻り作用素は基礎体上の自己同型にはなっておらず,Lefschetz跡公式等を適用することができないため,引き続き捻られたルビン・テイト空間のよい定式化について考察を行う.その際には,等標数局所体上の局所shtukaのモジュライ空間を参考にする. 一方,平成27年度に得られた成果をより深く追求することも合わせて行う.共役自己双対的な表現のラングランズパラメータの符号とJacquet-Langlands対応の関係については,より表現論的な手法を採用することで,離散系列表現へと一般化できることが期待される.また,E/Fを3次以上の拡大に置き換えると何が言えるかなども,素朴ではあるが興味深い問題であると思われる.
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Causes of Carryover |
今年度に実施した,ルビン・テイト空間に新たな作用素を定義するという研究においては,私自身のこれまでの研究経験を十分に生かすことができた.その結果,想定よりも資料収集の費用を節約することが可能になったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,本年度に得られた超尖点表現に対する結果を離散系列表現へと一般化する際などに,より表現論的な手法を採用する予定である.また,捻られたルビン・テイト空間の構成のために,等標数局所体上の局所shtukaのモジュライ空間にも注目している.これらの計画の実施のためには,私が現在有している知識では不十分であると考えられる.そのため,国内外への出張を通して有益な情報を収集し,研究の進展に役立てる予定である.
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