2015 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノ研究のための発光波長の異なる2層型液体シンチレータ検出器の開発
Project/Area Number |
15K13472
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 格 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (10400227)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 素粒子実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノは素粒子・宇宙の謎を解き明かす鍵となると考えられており、ニュートリノが関わる希少事象探索に適した液体シンチレータ検出器を用いた実験の重要性が高まっている。本研究では、これまでの液体シンチレータ検出器では前例のない内層と外層の発光波長の違いを利用した発光点の区別を行い、外層や樹脂容器に含まれる放射性不純物に起因するバックグラウンドの大幅な削減を目標とする。この開発に成功した場合、検出器の拡張性が要求される二重ベータ崩壊や暗黒物質などの希少事象探索に大きく貢献すると期待される。 本研究では、短波長光に感度を持つ波長変換プレートを用いた集光による光量増加を利用して、発光点の区別に必要な光量差を実現する。この手法の原理検証及び測定の分解能を評価するため、小型プロトタイプ検出器の設計を行った。集光性能を評価するため、8インチ光電子増倍管と波長変換プレートを組み合わせた光センサーによってシンチレーション光を測定する。シンチレーション光は、波長変換プレートにおいて吸収・再発光され、液体シンチレータとの間に空気層を設けることで効率よく全反射光が受光部まで導かれる。波長ごとの吸収長を考慮した光学シミュレーションを行い、最適な波長変換プレートの直径(470 mm)と厚み(10 mm)を決定した。集光による光量増加は約1.5倍となり、発光点の区別に十分な光量差が期待される。また、波長変換プレートと紫外線透過アクリル・光電子増倍管との連結を行い、製作上の問題が無いことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標であるニュートリノ研究のための発光波長の異なる2層型液体シンチレータ検出器の開発を目標としていたが、小型プロトタイプ検出器の設計、シミュレーションによる性能評価が完了した。製作上の問題は無く、来年度早期に小型プロトタイプによる実測、及び性能評価を行う見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、小型プロトタイプ検出器の製作、実測による性能評価、高感度な希少事象探索実験のための大型検出器の設計を行う。本年度のシミュレーションで期待される性能が得られなかった場合には、プラスチックシンチレータの透過率向上や設計の再検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究で最も重要となるプラスチックシンチレータの選定に当初の予定よりも時間をかけたため、プロトタイプの本製作及び性能測定の時期が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度早期に製作を完了し、実測とシミュレーションによる性能評価に必要な物品を購入する予定である。
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Research Products
(7 results)