2015 Fiscal Year Research-status Report
超伝導転移温度特性を利用した多帯域マルチモード電波検出器の開発研究
Project/Area Number |
15K13491
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
田島 治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80391704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井野 徹 埼玉大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40359592)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / 宇宙マイクロ波背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
全ての電波検出器には「高統計」と「多帯域性」が求められると言っても過言ではない。現在、主流のアンテナ結合検出器は、1素子で1モードしか検出できなため多素子化が必須となる。しかも、周波数帯域毎にアンテナが異なる。結果として、高統計・多帯域性の追求には複雑さと多額の経費を伴う。これに対して、本研究はコンパクトかつ安価に、それらを実現する検出器の開発を行う。超伝導転移温度(Tc)特性を利用して周波数応答を決定するため、アンテナを一切持たないシンプルな構成となる。しかも、圧倒的な数のモード数を実現する(150 GHz帯では1素子で100モード)。「周波数応答性はアンテナで定義するもの」という従来の常識を覆す斬新なアプローチと、1素子で従来の100倍もの高統計を実現するアイデアの融合により、「高感度でもコンパクトかつ安価」な検出器を開発する。 本研究に先立ち、TiN/Ti積層薄膜の層数を変えることにより、超伝導膜のTcをコントロールする手法を開発していた。本年度は、CMB観測周波数帯にTcをチューニングできること(例えば150 GHz帯の検出器用にはTc=1.8 K)、及び、基盤上での一様性(3インチ基盤上で±0.1 K以内)を保証することの2点を追求し達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた超伝導膜の転移温度をコントロールする成膜技術を確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導検出器の製作技術を確立し、シンプルかつ高性能を安定して供給できることを、評価装置を使って示す。
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Causes of Carryover |
本年度は既存資産を流用した超伝導成膜の研究に注力したため、消耗品に予算執行を注力した。さらなる検出器評価に特化した治具等の設計に時間を要したため、次年度に使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検出器評価に特化した治具等の設計を進め、評価装置構築に費やす。
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