2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13691
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
跡部 真人 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (90291351)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 反応場 / マイクロリアクター / 電解合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のπ共役オリゴマー分子の合成は、有機金属触媒を用いたカップリング反応に基づいたものが主流であり、該手法には所望の分子量に応じて反応・精製を繰り返す多段階かつ煩雑な合成手順が必要になる。 これに対し、本研究は空間的・時間的制御が可能になるフロー式の電気化学マイクロリアクターを利用し、分子量の制御されたπ共役オリゴマー分子を簡便かつ効率的に提供することができる革新的な合成システムを構築することを目的としている。 予備研究では実際、フロー式の電気化学マイクロリアクターをベースとする反応システムを試作し、チオフェンをモノマーとする電解液を流通の上、通電(電解重合)したところ、5量体を主成分とする極めて単分散性の高い(Mw/Mn = 1.02)オリゴチオフェンをワン・パスのみで収率よく得ることに成功している。 これに対し、本年度(平成27年度)の研究では、この合成システムのさらなる高度化と汎用化を図るために「種々の分子量を有する単分散性オリゴチオフェンの合成」に焦点を絞り研究を実施した。具体的には高効率・高選択的なオリゴチオフェン合成のための最適条件の導出、電気化学マイクロリアクターの最適構造の検討により最高のパフォーマンスを発揮するオリゴチオフェン合成システムを構築することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用する電気化学マイクロリアクターは原則として予備研究と同一のものを利用したため、セル設計に要する時間は必要にならなかった。また、検討するパラメーターは多岐に渡るが、1回当たりの電解時間は数分程度なので協力頂く大学院学生1名で結論導出のためのデータは十分蓄積出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成28年度)は「各種π共役オリゴマー分子の合成」に焦点を絞り研究を推進する。具体的には具体的には、3-ヘキシルチオフェンオリゴマーおよび3,4-エチレンジオキシチオフェンオリゴマーを合成ターゲットに選定する。これらのオリゴチオフェン類は各種エレクトロニクス材料として現在最も盛んに研究が行われているπ共役オリゴマーであり、また既に一部は実用化もされているため、簡便で高効率的な単分散性オリゴマー分子の合成が実現すれば極めて大きな波及効果も望める。研究開発項目としてはチオフェンオリゴマーの場合と同様、電流密度、流速、基質(モノマー)濃度といった電気化学マイクロリアクターの操作条件の最適化が中心になる。
|