2015 Fiscal Year Research-status Report
生物自体がもつ形態変化能を利用した、潜在的な安全性を備えた加工法創出への挑戦
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15K13849
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上杉 薫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20737027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 圭祐 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60359114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アポトーシス / 組織構築 / 熱刺激 / 加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞熱刺激システムを構築した.先ず,培養表面に対して最も効率的に熱を伝える方法を検討した.培養用ポリスチレンディッシュとヒータ間の充填物の影響を検討するため,間に銅板を挿入したもの,銅板とヒータの接触部にグリスを塗布したものを用意した.37℃の純水で満たしたディッシュを50℃に設定したサーモプレート上に設置し,培養表面の温度を微小熱電対で測定した.結果,銅板とグリスを挿入した場合の熱伝達効率が良いことが確認できた.次に,ディッシュ底面の厚みに対する温度伝達の影響を検討するため,通常のディッシュとフィルムボトムディッシュの培養表面温度を測定した.ディッシュ‐ヒータ間には銅板,及びグリスを挿入した.結果,通常のディッシュとフィルムボトムディッシュとの間に大きな差異は確認されなかった. 次に,細胞がどの程度の熱刺激に対してアポトーシスを示すか観察した.マウス線維芽細胞(NIH-3T3)をポリスチレンディッシュ上に播種し,30%程度のコンフルエントな状態まで増殖させ,38℃,40℃,42℃の熱刺激を加えた.培養一日目では,37℃(control)と38℃の熱刺激を加えた細胞には大きな変化が見られなかったが,40℃では一部の細胞が死滅した.また,42℃においては全ての細胞が死滅し,培養面から剥離した.その後も培養を継続したところ,2日目ではcontrolの細胞数は1220 cells/μL,38℃で1522.5 cells/μL,40℃では492.5 cells/μLであり,38℃以下の熱刺激では大きな変化は見られなかった.また42℃においては全ての細胞が死滅し培養面から剥離していた.さらに,熱刺激した細胞を継代し観察を続けたところ,control,38℃,40℃で大差は見られなかった.このことから,3T3に関しては,40℃以上でアポトーシスが始まり,またアポトーシスしなかった細胞はそのまま増殖を継続することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞に熱刺激を加えるシステムを構築し,システムの熱伝達特性を評価した.また,実際にシステムを用いて細胞に熱刺激を加え,どの程度の温度刺激によってアポトーシスが発生するか観察した.さらに,熱刺激を加えた細胞を再度継代し,継代後の細胞に熱刺激による影響があるか観察した.
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Strategy for Future Research Activity |
細胞アポトーシスのパターニングを試みる.任意の形状に加工した銅板にヒータを用いて熱を伝達させ,アポトーシスする領域を制御する.また,熱刺激の頻度を調整し,効率的にアポトーシスを起こす条件を明らかにする.また,どの程度の細かさまでアポトーシスをパターニングできるか検証する.
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Causes of Carryover |
パターニングに際して,微細加工を用いず機械加工を行ったため.また,微小熱電対の絶縁処理を施設内の設備で代替できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度でのシステムの改良に使用する.
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