2016 Fiscal Year Research-status Report
引きずり抵抗を限りなくゼロとするディスクブレーキの開発研究
Project/Area Number |
15K13857
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 隆 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40135314)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 燃費向上 / ブレーキパッド / 摩耗 / 自動生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な乗用車用ディスクブレーキでは,キャリパーのしゅう動抵抗のために走行中もブレーキパッドがディスクと接触している.これによる損失を引き摺り抵抗と呼び,もしこれを0とするならば2.5 %の燃費改善が期待できることを著者は示している.本研究ではまず,パッド表面形状が適切であればディスク回転によりパッドが浮上することを示した.市販のブレーキパッドにエンドミル加工で高さ50μmのコの字形ランドを設け,旋盤の主軸に取り付けた鋳鉄製ディスクを回転させて,製作したブレーキパッドを近づけると,5N程度の浮上力が発生した.これはブレーキキャリパーをしゅう動させるに十分な値である.しかし,ブレーキパッドは実車では制動の度に摩耗するため,実用的な新たな対策を考えた. ブレーキパッドに一般的に施される中央のスリット加工を斜め45°のハの字形のスリットに置き換えることで,パッドの摩耗に伴い浮上に必要な表面形状が自動的に生成することを示した.これはハの字部は他の部分に比べ剛性が下がるため,制動時の押し付け圧力がこの部分だけ下がるためであり,摩耗量が他の部分よりも少なくなり,摩耗の進行に伴い中央部が僅かに高くなる.ディスク回転に伴う空気のクエット流れでパッドの前方部に圧力が発生し浮き上がり,全体としてもディスクに接触しなくなる. この技術はドラムブレーキのリーディングシューにも適用可能であり,ブレーキパッドをこれに交換するだけで燃費が改善することから,極めて有効なトライボロジー技術となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用に近い試験が可能な装置で,ブレーキパッドの摩耗試験を企業に依頼した.28年度の成果をもとに,共同で特許を出願することを提案したが,共同研究契約を締結していなかったため,企業からの特許は無理との回答があった.特許は大学から出願することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
29年5月の日本トライボロジー学会講演会で成果を発表する.大学からの特許出願はそれに間に合わせている.29年度は出願の技術での引き摺り抵抗削減を実測する. 28年度の研究では,ハの字形のスリットをブレーキパッドに施すことで,摩耗の進行に伴い,中央部が僅かに高くなり,理想的な形状となることを確かめた.理想形状はパッドが1mm程度摩耗した後に完成したが,理想的には製品初期の状態でもその形状となっていることが望ましい.29年度はブレーキパッドメーカと協力し,最適な表面加工方法を確立する.プレーキパッド表面はブレーキ鳴きを抑えるために「焼き」を加えているが,その前の表面切削加工時に僅かな中央高を形成することを試みる.また,28年度は摩耗の進行による中央高を測定したが,浮上力自体は測定していない.ブレーキ制動時の巨大な接線力に比べ浮上力は小さいため,特殊な動力計を29年度は作成し,浮上力を測定する.またブレーキメーカの協力を得て,実車での試験も行いたい.
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Research Products
(1 results)