2015 Fiscal Year Research-status Report
微小場空間内における高エネルギー渦輪生成と輸送による機能創発
Project/Area Number |
15K13917
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山西 陽子 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50384029)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロバブル / 洗浄技術 / 反応性気液界面 / MEMS技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では代表者が発明し特許を申請している「微小空間内渦輪生成技術(特願2014-201439)」のシーズを活用し,気泡噴出部材から噴出した高速回転している気体の輪である渦輪を微小空間場に発生させ洗浄能力に貢献し,熱量や物質を安定に輸送することを目標として研究を行っている.本年度は,気泡噴出部噴流近辺に存在する旋回流のせん断応力の大きさ等を計測し基板と電極間の距離による洗浄能力の違いを評価した.一方,電界誘起で発生した気泡が,静電気を帯びている可能性が高く,界面の静電吸着力によって汚れや反応試薬を吸着することができる大きな利点を有していることについても評価した.結果として通常のインクジェットの液滴よりも大きな電荷を帯びていることを確認し,周りに分散したポリスチレンビーズを引き寄せ吸着させるといった挙動を確認することができた.今後は電気泳動等を用いて気液界面の帯電の大きさ等を評価していくものとする. さらに大面積でも使用可能にするために気泡発射部を2次元チップ上に配置させ,2次元状に気泡を発射させることを目標に研究を行った.シリコン基盤上に電極をパターニングして,ある程度のアスペクト比を有する気泡発射部を作り込むために過露光テクニックとめっき技術を駆使してテーパーを有する3次元気泡発射部を作り込むことに成功した.パルス電圧を印加したところ,鉛直上方に気泡を発射させることを確認し,この技術を複数回繰り返すことにより,多筒式かつ歩留まりの良い多筒式気泡発射部を作成することを今後行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小空間内に指向性を有する気泡を発射することにより,渦輪及びその近辺に大きな旋回流やせん断力を発生させ洗浄や冷却等の応用技術へと発展させる本研究において,本年度は,噴流によって生じるせん断応力の大きさを蛍光ナノビーズとハイスピードカメラを用いて評価し,さらに気液界面上の帯電による付着力についてポリスチレンビーズの誘引と吸着について評価を行った.さらに大面積使用のために基板上に3次元気泡発射部を作り込むことに成功した.よって,本研究課題の進捗状況においては,当初の目標を達成しつつあり,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
気泡噴出部材から噴出した高速回転している気体の輪である渦輪を微小空間場に発生させ洗浄能力に貢献し,熱量や物質を安定に輸送することを目標とした研究において,今後の研究方針として,よりハイスループットな洗浄や輸送能力の実現に向けて,引き続き2次元多筒式チップの作成や,気泡の気液界面の付着力向上へ向けた取り組みを続けるものとする.また,安定した再現性のある洗浄能力を達成するための最適化についても行っていく予定である.この研究は微小空間内の高効率洗浄技術に繋がるだけにとどまらず,温度差を利用した微小空間内の冷却技術や,微小空間内反応場生成による新材料創成,渦輪界面上のせん断流れを利用した低侵襲3次元加工技術などへの実用化に繋げていきたい.
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Research Products
(5 results)