2015 Fiscal Year Research-status Report
液体乾燥媒体と透湿膜を用いた超小型・高性能な空調用除湿システムの開発
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15K14071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 光 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90709734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 理恵 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (30466536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 湿式除湿空調 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)透湿膜を用いた除湿コイルの開発:予備的な研究で得た知見をベースに、透湿性の中空糸を用いた除湿コイルを製作した。研究費の規模に応じて模擬外気を供給する手段と除湿液の温度管理、濃度管理を行う手段を完成し、中空糸に流通する除湿液の温度、濃度をパラメータとした除湿実験を実施。除湿性能が得られる事を確認した。 2)除湿コイルによる除湿実験:当初計画通り約85m3/hの模擬外気(33℃,60%目標に制御)を除湿する実験を実施し、現実的な除湿液濃度と温度で1.9g/kg(DA)の除湿と約1.6℃の冷却が実現できることを確認した。実用化の為には5g/kg(DA)程度の除湿が期待される。本実験から得られたデータをもとに、実用化の為の除湿コイル設計が可能と考えられる。 3)除湿コイルによる除湿液再生実験:上記コイルに加温した除湿液を通水することで、除湿液から水を脱着する再生実験を実施した。一例として液温45℃程度、雰囲気は上記の模擬外気にて実験を行い、約1.1g/kg(DA)の再生(脱着)を確認した。 これらの実験を通じて得られたデータによって、除湿、再生を予測可能なシミュレーションを開発した。予測精度の検証より除湿・再生システムの検討には実用上有用な範囲にある事を確認した。これによって計算上で容量制御に関する検討を行い、実際に空調に利用する際に除湿液があるべき濃度、温度等が検討可能となった。これは研究費の効率的利用の側面からも有用な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の1)~3)は当初計画の項目に概ね一致しており、研究は順調に進展している。実験装置の構築方法等は研究予算に応じて実施可能な方法を検討し、当初計画とは大きく異なるものとなった。その結果、実験の精度等は影響を受けるものの、研究の進展そのものには大きな問題はないと考える。また、当初実験によって除湿・再生システムを構築する事を意図していたが、計算にてトータルなシステムを再現する方法を検討することで今後も本研究の目的である除湿空調システムの実現に向けた開発を遂行可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請当初の計画に於いては、実験的に除湿・再生を連結したトータルなシステムによる検討を意図していたが、これを主にシミュレーションによる検討に切り替える事を検討する。初年度に実現したシミュレーションの精度を上げる事を意図した除湿、再生それぞれの実験により、除湿コイルの除湿、再生特性をより詳しく明らかにする。その上でシミュレーション上で除湿・再生を連結したモデルを運転する。実験の精度を向上する為の実験装置、計測装置の見直しなどを検討する。
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Causes of Carryover |
模擬外気製造装置の計画を変更した事に依って、初年度の実施金額が当初申請と異なったため、次年度使用が生じた。但し、同計画の変更と共に、第2年度に高精度な計測を行う為の測定器の追加を併せて行うため、次年度使用はこの追加計測器に充当する事を予定する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
除湿液濃度を直接計測する為に、密度計或は濃度計を導入することを検討している。また、模擬外気製造装置に不調が出ており、この修正のためにも費用を要する。
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