2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Transition of Architectural Construction Organization in the Early Heian Period
Project/Area Number |
15K14101
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小岩 正樹 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20434285)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本建築史 / 建築生産史 / 平安時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、寺院における造営活動の把握を目的とした。造営組織の面からは、中央寺院においては奈良時代以来の造寺司の停止に伴い、それに代わる造営体制が取られたことが既往研究からも知られているが、組織構成が変わり規模が縮小された造営組織である造寺所などの設置、あるいは臨時の造寺使など、寺院や個別の造営事例によって異なる活動形態があり、その間の事情について検討を行った。 また、工匠の側面としては、平安時代一般の特徴として、寺院に所属する工匠である「寺家大工」の登場、あるいはそれら工匠を成員とする寺院(寺家)が経営主体たる「寺院工房」の成立が挙げられるが、本研究課題が対象とする平安時代前期はその胎動期にあたるため、その動勢を把握することを目的とした。 特に『東大寺要録』をはじめ、比較的寺誌に恵まれている東大寺を事例とし、東大寺造営組織が造寺所から修理所へ変遷する点は、上述の平安時代の前後期の性格の差にも対応するものと思われ、特に造寺所について検討を行った。 結果としては、研究開始時に想定した結果を明瞭に示すような論拠となりうる記述を史料から多くは見出せず、解読するべき対象史料を広げたことと、間接的な証拠や、既往研究の解釈などを織り交ぜて、研究を行うこととなった。そのため、いまだに解明に困難な点が多く残るが、基礎的な研究蓄積を築くことができたため、美術史などの隣接分野の成果を交えて、今後の研究に繋げる計画である。
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