2015 Fiscal Year Research-status Report
ペプチドアレイ解析技術を用いた免疫寛容誘導ペプチドの設計
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15K14230
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大河内 美奈 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70313301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 裕之 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70209328)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド / マイクロアレイ / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国における食物アレルギー患者数は急増しており、その治療法が広く求められています。初年度は、アレルギー寛解メカニズムに着目した解析を行うため、アレルギーマウスをアレルゲン免疫により作製し、産生される血清中IgE抗体エピトープをペプチドマイクロアレイ解析技術により明らかにしました。ペプチドマイクロアレイは、アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列を基に断片化ペプチドライブラリーを合成し、スライドグラス上にアレイ化することで作製しました。さらに、得られたエピトープペプチド内の結合コア配列を解析するため、自由に配列設計が可能なセルロース膜へのスポットペプチド合成法を利用しました。これより、作製したアレルギーマウスのIgE抗体エピトープを詳細に解析することができました。このエピトープペプチドは、好塩基球を用いた細胞アッセイ系においてアレルゲン添加による脱顆粒を抑制する効果があり、抗原添加によるIgE抗体受容体の架橋反応を抑制する可能性が示唆されました。さらに、アレルギーマウスを用いた実験では、エピトープペプチドを添加した後にアレルゲンを投与することで、アレルギー反応の抑制効果が確認できました。これらの結果より、ペプチドマイクロアレイ解析技術を利用することでIgE抗体エピトープを明らかとし、アレルゲン投与時のアレルギー反応を抑制できることが示唆されました。このことは、エピトープペプチドを利用することで経口免疫療法などにおけるアレルゲン摂取時のアレルギー反応を抑制しながら治療を円滑に進められる可能性を示唆しており、ペプチドマイクロアレイ解析技術の有用性が明らかとなりました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチドマイクロアレイ解析技術は、抗体エピトープ解析において有効な解析ツールであることが明らかとなってきました。本解析により得られる抗体エピトープ情報をアレルギー診断のみならず、アレルギー治療に活かすことができるか検討を進めています。初年度は、エピトープペプチドを用いることによりアレルギー反応を抑制できることが示唆され、ペプチドマイクロアレイ解析技術の有用性が明らかとなりました。このことは、経口免疫療法における補助剤としてエピトープペプチドを利用できる可能性を示唆しており、初年度としてよい成果が得られました。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドマイクロアレイ解析技術をさらに展開し、IgE抗体エピトープを用いた経口免疫療法について検討する他、免疫応答において重要な記憶B細胞についても解析することにより、アレルギー寛解メカニズムについて理解を深める。
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Research Products
(8 results)