2016 Fiscal Year Research-status Report
水中ロボット向け電力通信機能を有する非接触給電装置の研究開発
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15K14261
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
木船 弘康 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90323849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (80572081)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非接触給電 / コイルレイアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
給電ステーションを模擬した大型の実験装置を製作した。この実験装置では、給電ステーション側に設置するコイル群のレイアウトを一定の範囲内で変更することができる。コイル単体にはリッツワイヤーを使用したドーナッツ状コイルを使用した。給電ステーション側には複数のコイルを敷き詰めた。 AUV側のコイルは給電ステーション側と同じドーナッツ状コイルを使用した。AUVが給電ステーションのあらゆる位置、向きに着底することを模擬するため、AUVコイルのXY平面上の位置とX軸回りの回転を細かく変更できるよう、装置の設計製作を行った。 AUV側に搭載するコイルがN個、給電ステーション側に設置するコイルがM個であるとすると、送受電するコイルペアの組み合わせはN×M通りあることとなる。単位面積当たりのペア数が多ければ多いほど、AUVが給電ステーションのどこに着底しても確実に効率良く受電することが可能となるため、N×Mのペア数は重要な要素である。一方で、AUV側は搭載重量や許容容積の関係から、コイル数を増やすことは現実的に難しい。そこで、AUV側のコイルは2枚程度とし、給電ステーション側のコイルを多くしている。このN×M組のペアの中で最も送受電に適切、すなわち結合係数の高いペアを用いて送受電を行う。この時、給電ステーション側のコイルがどのようなレイアウトで、AUVに搭載する2枚のコイルの中心間距離をどのようにすれば、より高い結合係数のペアを見つけることができる可能性が高まるか、といった確率論的なアプローチから検討する必要がある。 上記の課題に対し、電磁界解析シミュレーションに頼らず、試作実験装置を駆使して実験プロセスを経てデータ収集と解析を行った。その結果、給電ステーション側コイルのレイアウトおよびAUVコイル側のコイル間距離の最適値を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成27年度)は、実験用資材の仕様決定、納期等がずれ込んだ影響で実験装置の製作に遅れが生じた。しかし2年度目(平成28年度)の上期には実験装置が完成し、遅れを取り戻すため、膨大な実測データを自動的に整理解析する仕組みを作成し、解析を行った。 その結果、給電ステーション側のコイルを多層化し、かつ各層のコイルを格子配列にすることで、コイルの設置数をあまり増やさずに結合係数の高いペアを見出す確率を上げることができることを明らかにした。同時にAUV側コイルの中心間距離をどのように設定すべきか、実験データと幾何学的視点から一定程度の理解が得られている。このコイルレイアウトの最適化については、当初よりかなり先行して結果が得られている状況である。 一方で、結合係数の高いペアを見つけるためのアルゴリズムの作成に想定以上に時間を要しており、当初計画より遅れている。以上のことから、総合的に見て「おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までの研究で、送電コイルと受電コイルが高い確率で結合係数の高い状況を作るためのレイアウトが明らかになった。しかし結合係数の高いペアを見つける(マッチングプロセスの)ためのアルゴリズムの作成を継続して行う。正常に送受電できる場合のプロセス制御はもちろんのこと、最も重要なのは、送受電できない環境や状況に陥った場合の安全確保動作と制御(フェールセーフ)である。このフェールセーフを実現するためにあらゆる状況を想定し、「想定外」を作らないことと、それでも「想定外」の事態に陥った場合の対処方法について入念に検討を進める。 上記の検討を踏まえて、アルゴリズムを作成すると同時に、マッチングプロセス用のハードウェア(特に電子回路系)の作成と完成を急ぐ。また、ハードウェアを自動で制御するための回路基板とそのプログラムの作成を行う。
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Causes of Carryover |
マッチングプロセス制御を実施するために必要な制御基板を購入する予定であったが、プロトコルの策定に時間がかかり、制御基板の購入には至らなかった。入念なプロトコルの策定を行い、入出力インターフェース等が確定してからでなければ制御基板は購入ができないため、その分の費用が余剰として発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度も引き続きプロトコルの策定をしており、上半期中には制御基板の入出力インターフェースに必要な機能が確定する。これを待って昨年支出執行できなかった分の繰越金で制御基板を購入する。
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